南北戦争の知識がありません。|ヘイトフル・エイトを自由研究

この記事では、映画を鑑賞した方に向けて、作中の疑問点や気になる要素を整理・検証しています。

作品の内容に触れていますので、未視聴の方は先に本編をご覧ください。


ヘイトフル・エイト(2015年/監督:クエンティン・タランティーノ)では、南北戦争終戦後のアメリカが舞台となっており、頻繁に南北戦争の話が出てきます。

南北戦争の知識があるとより楽しめそうな作品なので、
簡単にまとめました。


南北戦争とは

南北戦争は1861年〜1865年、
約4年間続いたアメリカの内戦です。


戦争のきっかけは、当時のアメリカにあった
34州のうち11州が
合衆国からの離脱を宣言したことでした。


なぜ離脱宣言したら戦争になるの?

自由の国アメリカなのだから
離脱して好きにすればいいのでは?


と思ってしまいますが、
当時のアメリカでは離脱宣言をきっかけに
内戦が勃発しました。


流れとしてはこんな感じです。

① アメリカ全体で対立が起きていた

当時のアメリカでは

  • 奴隷制度は良くない
  • いや必要だ

という大きな対立がありました。

ただし当時はまだ「全員が奴隷反対」
という状態ではありません。


北部でも差別は普通にありました。

② 北と南で経済構造が違う

ここが一番重要で

北部

  • 工業社会
  • 工場労働
  • 奴隷に依存していない

南部

  • 綿花農業
  • 大規模農園
  • 奴隷労働に依存

つまり南部にとって奴隷制度は
経済の基盤
でした。

③ 奴隷制度を巡って政治対立

問題は「新しい州で奴隷制度を認めるか」
でした。


西部に新しい州ができるたび

  • 奴隷州
  • 自由州

どっちにするかで揉めます。

④ リンカーン当選

1860年、エイブラハム・リンカーンが大統領に当選。
リンカーンは奴隷制度の拡大に反対の立場でした。

南部は
「このままだと奴隷制度が消されて将来的に南部の体制が脅かされる」
と考えました。

⑤ 南部が離脱宣言

そこで南部の州が合衆国から離脱します。

最初はサウスカロライナ州。
最終的に11州が離脱して
アメリカ連合国(南部連合)を作りました。

⑥ 北がそれを認めない

北側は「州は勝手に独立できない」と主張。
結果内戦になります。


南北戦争の結果

1865年、北軍が勝利します。

その結果

  • 南部連合は崩壊
  • 奴隷制度は廃止

となりました。


しかし戦争が終わったからといって、
すぐに社会が落ち着いたわけではありません。


南部の経済は大きな打撃を受け、
多くの人が戦争で家族や生活を失っていました。


また奴隷制度は廃止されましたが、
人種差別そのものがすぐになくなったわけでもありません。


リンカーンの暗殺

南北戦争を終結に導いた
エイブラハム・リンカーンですが、
戦争終結の直後、1865年に暗殺されてしまいます。


暗殺が起きたのはワシントンD.C.の劇場。
リンカーンが観劇している最中に、
南部寄りの俳優ジョン・ウィルクス・ブースに銃で撃たれました。


リンカーンは翌日に死亡します。


つまり南北戦争は終わりましたが、
当時のアメリカにはまだ強い対立が残っていました。


作中での北部と南部

ヘイトフル・エイトでは、登場人物同士が些細なことでよく揉めます。
その理由の一つが南北戦争の立場の違いです。

北部

南部

一緒の空間に居ると直ぐに喧嘩になるので、
オズワルド・モブレーはロッジの中を南北戦争の地理になぞらえて
店を二つに分けます。

  • テーブルは中立地帯
  • 暖炉の辺りはジョージア
  • バーはフィラデルフィア

ジョージア州は南部連合の中心地域の一つ。

フィラデルフィアはアメリカ独立宣言が採択された都市で、
合衆国の初期政治の中心地でもありました。
そのため北部を象徴する都市として扱われています。


そのころ日本は何時代?

南北戦争(1861〜1865年)は日本で言うと江戸時代の終わり頃です。

具体的には

  • 1863 薩英戦争
  • 1867 大政奉還
  • 1868 明治維新

とほぼ同じ時代になります。


まとめ

  • 南北戦争は1861年〜1865年に起きたアメリカの内戦
  • 南部は奴隷労働に依存した農業社会だった
  • 奴隷制度を巡る対立から南部が離脱宣言
  • 北側はそれを認めず内戦に発展
  • 戦争は北軍の勝利で終結し奴隷制度は廃止
  • しかし当時のアメリカには南北の対立がまだ残っていた

ヘイトフル・エイトはその南北戦争から
数年後の世界を舞台にしています。


そのため登場人物たちの会話や対立には
南北戦争の背景が色濃く反映されています。