この記事では、映画を鑑賞した方に向けて、作中の疑問点や気になる要素を整理・検証しています。
作品の内容に触れていますので、未視聴の方は先に本編をご覧ください。
あらすじを振り返りたい方はこちら。
ヘイトフル・エイトのあらすじ整理
ヘイトフル・エイト(2015年/監督:クエンティン・タランティーノ)では、首吊り人ジョン・ルースに捕まっているデイジー・ドメルグですが、彼女の懸賞金は1万ドルとなっています。
最近は「1ドル=150円くらい」なので単純に計算すると150万円くらいかな?と漠然と考えていましたが、どうやらそんなに単純な話ではありません。
昔のお金の価値は、今とはかなり違うはずです。ということで調べてみました。
ミントキャンディから考えてみる
作中で何か金額の基準になりそうなものはないかと観察してみると、第5章にジョー・ゲージがミニーの紳士服飾店でスティック状のミントキャンディを買うシーンがありました。
値段は5セントで5本つまり1本1セントです。ひとまず、このキャンディを基準に考えてみましょう。
同じようなキャンディを現在のアメリカで調べてみると、価格には少し幅がありますが1本25セント〜60セント前後くらいで売られていることが多いようです。(セントは1ドルの100分の1を表す通貨単位)
つまりキャンディ基準で考えると、当時の1ドルは現在の25倍〜60倍くらいの価値という計算になります。
この倍率をそのまま当てはめると1万ドルは25万ドル〜60万ドルになります。
さらに日本円にすると(日本円はあくまで目安として、1ドル150円でざっくり換算します)
3,750万円〜9,000万円という結果になります。かなりの金額です。
しかし、ここで疑問が出てきます。キャンディがそれくらい値上がりしているからといって、その倍率をそのまま懸賞金に当てはめてもよいのでしょうか?
どうやら、そんなに単純な話ではないようです。キャンディの値段には
- 砂糖の価格
- 製造技術
- 流通
- 人件費
- 販売方法
など、さまざまな要因が関係しています。
そのためキャンディの倍率 = 懸賞金の倍率とはならないようです。
消費者物価指数を使う
こういう時に使われる指数に消費者物価指数(CPI)というものがあります。これは、
- 食べ物
- 家賃
- 衣類
- 生活用品
など、生活に必要な様々なものの価格をまとめて比較し、昔のお金を今の生活感覚に置き換えるための目安として使われる指数です。
対象となる年代と現在のCPIを比べることで当時のドルが現在の何倍くらいの価値なのかを推定できます。
ただし、これは「平均的な物価」を示す指標なので、すべての物の値段を正確に表すわけではありません。
物価ベースのほかにも賃金ベースなど別の計算方法もあり、算出方法によって金額は大きく変わります。そのため今回の計算は、あくまで一つの目安としてご覧ください。
映画の舞台は何年くらい?
消費者物価指数(CPI)を使うには、まず作品の舞台がいつ頃なのかを確認してみる必要があります。
作中では「何年」という具体的な表記はありませんが、登場人物たちの会話から南北戦争がすでに終わっていることが分かります。
終戦直後というより、終戦から少し時間が経っている雰囲気です。
南北戦争の終戦は 1865年のため、映画の舞台は1870年代頃と考えると分かりやすそうです。
計算してみる
それでは改めて、デイジーの懸賞金1万ドルが現在の日本円だとどれくらいなのかを考えてみましょう。
公式の消費者物価指数(CPI)は1913年以降のデータしかないため、それ以前の年代については歴史資料をもとにした推計値を使って考える必要があります。
今回は、過去の物価指数を算出できるサイト「MeasuringWorth」を参考にして計算してみました。
結果は以下の通りです。
- 1870年のCPI 12.65
- 2025年のCPI 321.94
数値をもとにすると、1870年の1ドルは現在のおよそ25倍程度の価値として考えられそうです。
つまり1万ドルは25万ドル程度の価値になります。
これを日本円にすると(ざっくり1ドル150円で計算)3,750万円くらいです。
なんと今回は、キャンディ基準の下限値とほぼ同じ結果になりました。
偶然とはいえ、意外と近い数字になるものですね。
まとめ
デイジー・ドメルグの懸賞金1万ドル を現在の価値にざっくり換算すると
- キャンディ基準
約3,750万円〜9,000万円 - 消費者物価指数ベース
約3,750万円
という結果になりました。
本作ではデイジー・ドメルグの罪状は詳しく語られませんが、
数千万円クラスの懸賞金がかけられていることを考えると、
かなり危険な犯罪者だった可能性が高そうです。
