※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
アモーレス・ペロス
(Amores Perros)
作品データ
2000年|メキシコ|心理ドラマ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:エミリオ・エチェバリア, ガエル・ガルシア・ベルナル, アルバロ・ゲレーロ, ヴァネッサ・バウチェ, ホルヘ・サリナス, アドリアナ・バラサ, ウンベルト・ブスト ほか
一回の事故を合図に、3つの人生がズタズタに絡まりだす話
メキシコシティで起きた派手な交通事故をきっかけに、まったく別の場所で生きてた人たちの物語が、あとから一本に束ねられていく。スラムの若者オクタビオは闘犬で金を作って駆け落ちを狙うけど、全部が裏目に出る。モデルのヴァレリアは事故で脚をやられて生活が崩れていく。もう一人はホームレスに見える男エル・チボで、実は依頼で人を消す仕事をしていて、娘に会えない人生を続けてる。どの話にも犬が出てきて、かわいいだけじゃなくて、運命のスイッチみたいに効いてくる。
ざっくり時系列
オクタビオが兄の妻スザナに惚れて逃げる計画を立てる
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飼い犬コフィが強くて闘犬に巻き込まれ金が動き出す
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闘犬の稼ぎで駆け落ち資金を作ろうとする
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トラブルが膨らみカーチェイスの末に交通事故が起きる
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同じ事故でモデルのヴァレリアが脚を重傷し仕事を失う
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同棲生活の中で飼い犬リッチーが床下に消えて家が荒れていく
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ホームレス風のエル・チボが事故の混乱で金と負傷したコフィを回収する
↓
エル・チボの過去と娘マルへの想いが見えてくる
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オクタビオはスザナとの未来を取り戻そうとして待つが来ない
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ヴァレリアは脚を失い、見えてたはずの人生の看板も消える
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エル・チボは依頼を片付け、娘に痕跡だけ残して去っていく
物語の主要人物
・オクタビオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)
兄の妻スザナと逃げるため、闘犬で金を作ろうとする若者
・スザナ(ヴァネッサ・バウチェ)
オクタビオの兄の妻で、彼の駆け落ち計画の中心にいる
・エル・チボ(エミリオ・エチェバリア)
ホームレスのように見えるが、実は依頼を受ける殺し屋
・ヴァレリア(ゴヤ・トレド)
事故で脚を重傷し、モデルとしての生活が崩れていく
・ダニエル(アルバロ・ゲレーロ)
家族を離れてヴァレリアと暮らし始める雑誌関係者
スラムの恋と闘犬が、事故に一直線でつながる
オクタビオは兄ラミロの妻スザナに恋してて、「一緒に子ども育てよう、逃げよう」って本気で考える。問題は金。そこで目をつけるのが闘犬の世界で、飼い犬コフィの強さがきっかけになってズブズブ入っていく。勝てば金は増えるけど、周りは危ない連中だらけで、裏切りも暴力も普通に飛んでくる。最終的に追われる側になって、カーチェイスの末にあの交通事故へ突っ込む。
事故のあと、モデルの家が静かに壊れていく
同じ事故で巻き込まれるのがヴァレリア。脚を大ケガして、モデルとしての未来が一気に止まる。恋人ダニエルと同棲を始めたはずが、家の空気はどんどん重くなる。しかも愛犬リッチーが床板の下に消えてしまい、救おうとするほど生活が荒れていく。やっとの思いで犬は助かるけど、戻ってきた部屋も、外の景色も、前と同じじゃない。
3つ目の物語は、拾った犬と娘への想いで動き出す
事故の現場にチラッと出てくるホームレスの男、実はエル・チボというプロの殺し屋。事故の混乱を利用してオクタビオの金を持ち去り、負傷したコフィも倉庫に連れて帰って手当てする。彼は昔の人生を捨てたせいで娘マルとは切れたままで、遠くから痕跡だけ追ってる感じ。依頼の仕事も片付けつつ、最後は娘の家に金と説明を残して去っていく。本人は会わない。会えない。そこがいちばん刺さる。
この映画のポイント
・同じ交通事故を軸に、3つの話が後からつながって見えてくる構成
・犬が毎回ただのマスコットじゃなく、運命を動かす役として効いてる
・恋、金、憧れ、家族、全部が絡んで「戻れない感じ」に進んでいく
・派手な場面と、部屋の中でジワジワ壊れる場面の温度差が強い
たぶんこんな映画
ずっと息が詰まるというより、「うわ、それ最悪のタイミングで起きるんだ…」が積み重なるタイプ。3つの話のテンションが違うのに、事故を中心に同じ街の空気としてまとまっていくのが独特。観終わると、人の人生ってハンドルひとつで簡単にズレるし、犬一匹でも簡単に崩れるんだな…みたいな後味が残るやつ。

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