※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
BIUTIFUL ビューティフル
(Biutiful)
作品データ
2010年|メキシコ/スペイン|心理ドラマ
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ハビエル・バルデム, マリセル・アルバレス, ハナー・ブシャイブ, ギレルモ・エストレラ, ディアリヤトゥ・ダフ ほか
死期を知った父親が、残された時間で全部を背負おうとする話
バルセロナの裏側で生きる男ウスバルは、違法な仕事で日銭を稼ぎながら、二人の子どもを育てている。ある日、余命わずかだと知らされ、彼は自分の人生で起きた過ちと向き合わざるを得なくなる。誰かを助けたつもりの選択が、別の誰かを傷つけていた。その重さを抱えたまま、ウスバルは「父親として何を残せるか」を必死に考え続ける。
ざっくり時系列
ウスバルが子どもたちと暮らしながら裏社会で働く
↓
末期の前立腺がんと診断される
↓
治療を始めるが途中でやめる
↓
不法移民たちの仲介に関わり続ける
↓
中国人労働者が事故で亡くなる
↓
罪悪感と体調悪化に追い詰められる
↓
子どもたちの将来を託そうと動く
↓
最期の準備を静かに進める
↓
子どもと過ごす時間の中で死を迎える
物語の主要人物
・ウスバル(ハビエル・バルデム)
裏社会で働きながら二人の子どもを育てる父親
・マランブラ(マリセル・アルバレス)
子どもたちの母で、精神的に不安定な状態にある
・アナ(ハナー・ブシャイブ)
ウスバルの娘で、父の変化を敏感に感じ取る
・マテオ(ギレルモ・エストレラ)
ウスバルの息子で、幼くして父の現実を背負う
・イゲ(ディアリヤトゥ・ダフ)
ウスバルが助けようとする移民の女性
助けているつもりで、壊していた世界
ウスバルは中国人労働者やアフリカ人移民に仕事を回し、警察との間を取り持ちながら生きている。本人は「守っている」つもりでも、その仕組み自体が誰かを追い詰めている。良かれと思った選択が、取り返しのつかない結果につながっていく。
父親として残せるものを探す
病気が進むにつれ、ウスバルの関心はひとつに絞られていく。自分がいなくなったあと、子どもたちはどう生きるのか。誰に託せばいいのか。金も人脈も、完全な答えにはならない中で、彼は必死に「安心」を形にしようとする。
美しいという言葉の、いちばん重たい使い方
タイトルの「BIUTIFUL」は、綺麗な景色や救いを指していない。壊れた街、貧困、死、罪悪感の中で、それでも子どもを想う気持ちだけは手放さない。その必死さそのものが、ウスバルにとっての美しさになっている。
この映画のポイント
・主人公一人に密着した重たい構成
・社会問題と個人の罪が重なって描かれる
・父と子の関係が物語の中心
・幻想と現実が静かに混ざり合う演出
たぶんこんな映画
観ている間ずっと、胸の奥が重たいまま進む。でもその重さは、不幸を見せたいからじゃなくて、生きる責任を真正面から描いているから。派手な救いはないけど、最後に残るのは「それでも守ろうとした」という事実。その余韻が、静かに長く残る映画。

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