※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
オットーという男
(A Man Called Otto)
作品データ
2022年|アメリカ合衆国|コメディ・ドラマ
監督:マーク・フォースター
出演:トム・ハンクス, マリアナ・トレビーニョ, レイチェル・ケラー, マヌエル・ガルシア=ルルフォ, キャメロン・ブリットン
ルールと孤独に縛られた頑固じいさんが、ご近所トラブルで生き直していく話
妻を亡くし、仕事も引退し、生きる理由を失ったオットーは、毎日きっちり町内ルールを取り締まりながら、静かに人生を終わらせる準備をしている。そんな彼の前に、にぎやかで距離感ゼロの隣人一家が現れる。邪魔され続ける自殺計画と、望んでいなかった人との関わりの中で、オットーの止まっていた時間が少しずつ動き出す。
ざっくり時系列
妻に先立たれ孤独になる
↓
定年退職し生きる目的を失う
↓
自殺を試みるが何度も邪魔される
↓
向かいに新しい家族が引っ越してくる
↓
頼まれごとに巻き込まれていく
↓
過去の妻との思い出が重なる
↓
人との繋がりが増えていく
↓
生きる側へ引き戻されていく
物語の主要人物
- オットー・アンダーソン(トム・ハンクス)
妻を亡くした63歳の寡夫。几帳面で口うるさい。 - マリソル(マリアナ・トレビーニョ)
向かいに引っ越してきた女性。遠慮なく頼ってくる。 - ソーニャ(レイチェル・ケラー)
オットーの亡き妻。彼の人生の中心だった存在。 - トミー(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)
マリソルの夫。少し不器用だが誠実。 - マルコム(キャメロン・ブリットン)
近所の青年。ソーニャと縁のある人物。
妻を失い、終わる準備だけをしている日々
物語は、オットーが日常を完璧に管理する姿から始まる。ゴミの分別、駐車ルール、近所の秩序。すべてはきちんとしているのに、彼自身の人生は完全に止まっている。妻ソーニャを失ってから、彼は電気やガスを解約し、静かに死ぬ段取りだけを整えていた。
何度も邪魔される「終わり」と、始まってしまう関係
首を吊ろうとすれば隣人の騒音、車で命を絶とうとすれば助けを求められる。オットーの自殺は、ことごとく他人によって中断される。その中心にいるのが、向かいに越してきたマリソル一家だ。頼みごとを断れず、病院に連れて行き、運転を教え、気づけば彼は誰かの役に立つ側に戻っている。
思い出と現在が交差し、生きる側へ引き戻される
妻との出会い、恋、結婚、支え合った日々が、現在の出来事と重なっていく。ソーニャがしていたように、オットーもまた、困っている人を放っておけない。猫を引き取り、若者を助け、かつて疎遠になった隣人とも向き合う。その積み重ねが、彼を「死ぬ準備」から遠ざけていく。
この映画のポイント
- 皮肉屋なのに行動は全部優しい
- コメディと喪失感のバランス
- 過去の回想が現在を補強する構成
- 人に必要とされることの重み
たぶんこんな映画
最初は気難しいおじいさんの話なのに、気づくと周囲の人たちごと好きになっている作品。生きる理由って大げさなものじゃなくて、ちょっとした関わりの連続なんだなって思わされる。静かだけど、最後はちゃんと心があったかくなる。

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