※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
Mr.&Mrs. スミス
(Mr. & Mrs. Smith)
作品データ
2005年|アメリカ|アクション/ロマンティック・コメディ
監督:ダグ・リーマン
出演:ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、
ヴィンス・ヴォーン、アダム・ブロディ ほか
幸せな結婚生活、のはずだった
ジョンとジェーン・スミスは、どこにでもいそうな共働き夫婦。
出会いは運命的、結婚して数年、郊外の家で穏やかに暮らしている。
……というのは表向きの話。
実は二人とも、
互いに正体を隠したまま暮らす凄腕の殺し屋だった。
仕事のことは一切話さない。
嘘をついている自覚はあるけど、
「夫婦なんてこんなもんだろ」と流している。
この映画、冒頭からすでに
結婚生活の“ズレ”が静かに積み上がってる。
正体バレ=全面戦争
物語が一気に加速するのは、
同じターゲットを別々の組織から狙っていると発覚した瞬間。
そこからはもう、
夫婦喧嘩が銃撃戦と爆発に変わるだけ。
- 家の中での銃撃
- キッチンが戦場になる
- 壁をぶち抜いて逃走
やってることは完全にバカ映画寄りなんだけど、
面白いのは、全部が夫婦喧嘩のメタファーになっている点。
言えなかった不満、
見ないふりをしてきた違和感が、
物理的に爆発する。
ジョンとジェーンのズレ
ジョン(ブラッド・ピット)は、
「平和な生活」をどこか本気で信じたがっているタイプ。
一方ジェーン(アンジェリーナ・ジョリー)は、
常に疑い、備え、主導権を握ろうとする。
この二人、能力的には互角だけど、
結婚に対するスタンスがズレている。
- ジョン:うまくいってる“ことにしたい”
- ジェーン:うまくいってない“事実を直視してる”
だから衝突する。
この映画、
アクションの皮をかぶった
価値観の噛み合わなさの話でもある。
カウンセリングという異物感
途中で挟まれる夫婦カウンセリングのシーンが、
地味にこの映画の肝。
殺し屋なのに、
普通の夫婦と同じように
「最近どう?」とか聞かれてる。
ここが可笑しいし、ちょっと切ない。
どれだけ派手な人生を送ってても、
結局悩みは
- 会話が減った
- 相手が何を考えてるかわからない
- 信頼できてない
という、ものすごく凡庸なもの。
スケールの差がギャグになってるけど、
中身は妙にリアル。
殺し合いの果てに残るもの
中盤以降、二人は完全に敵同士になり、
本気で殺し合う。
でも皮肉なことに、
一番“本音”をさらけ出しているのがこの時間。
嘘も建前もなく、
相手の能力を認め、
怒りも全部ぶつけ合う。
その結果、
二人はようやく「対等な関係」に戻る。
そして今度は、
世界を敵に回してでも
二人で戦う選択をする。
この映画がゆるく突きつけるもの
『Mr.&Mrs. スミス』って、
表面だけ見ると
- スタイリッシュ
- セクシー
- ド派手
なエンタメ映画。
でも芯にあるのは、
本音を隠したままの関係は、
いずれどこかで破裂する
という、
かなり身も蓋もない話。
愛があっても、
黙ってたら伝わらないし、
分かり合ってるつもりが一番危ない。
派手な離婚未遂映画
『Mr.&Mrs. スミス』は、
ラブストーリーというより
超過激な夫婦リハビリ映画。
殺し合いまで行って、
ようやく会話が成立するって、
冷静に考えると相当ブラック。
でも、その極端さがあるからこそ、
観てる側は笑いながら
自分の人間関係をちょっと振り返ってしまう。
ゆるく観られるけど、
「言ってないこと、大丈夫?」って
後から効いてくるタイプの一本。

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