英雄は嘘がお好き

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1809年、フランス。ボーグラン家の人々は、次女・ポリーヌの縁談がまとまり大喜びしていた。だがその婚約者のヌヴィル大尉は戦争へ駆り出されてしまう。傷心のポリーヌは、病に臥せってしまう。心配した長女のエリザベットは、大尉のふりをして自身で書いた手紙を妹に届けることに。手紙のおかげでポリーヌは回復するが、調子に乗ったエリザ...



英雄は嘘がお好き
(Le Retour du héros)

作品データ
2018年|フランス|ロマンティックコメディ
監督:ローラン・ティラール
出演:ジャン・デュジャルダン、メラニー・ロラン ほか

手紙だけで作られた英雄が、のこのこ帰ってくる話

1809年のフランス。戦地から戻らない婚約者を待ち続ける妹ポリーヌのために、姉エリザベットは差出人を偽って手紙を書き続ける。内容はどんどん盛られ、婚約者ヌヴィルは勇敢な英雄として語られ、ついには戦死したことにされてしまう。それから数年後、なんと本人が生きたまま帰還。街は英雄の帰還に沸き、妹は恋にときめき、嘘を書いてきた姉だけが胃を痛める状況になる。さらにヌヴィル本人が、この嘘を利用しようとし始めて事態は一気に転がっていく。

嘘を量産してきた理屈派の姉エリザベット

エリザベットは現実的で頭が切れるタイプ。妹を思う気持ちから始めた手紙が、気づけば自分でも引き返せない規模に育ってしまっている。英雄像を作り上げた張本人なのに、その英雄が目の前に現れたことで、嘘を守る側として奔走する羽目になる。正しさと保身の間で、常に計算が働いている感じ。

嘘を信じ切った妹と、街全体が舞台

舞台はブルゴーニュの街。妹ポリーヌは手紙の言葉をそのまま信じ、英雄を理想の恋人として心に描いてきた。街の人々も同様で、噂と手紙だけで作られた英雄像を疑わない。個人の嘘が、いつの間にか街全体の空気を支配している状態になっている。

本物なのに中身が伴わないヌヴィル大尉

帰ってきたヌヴィルは、実際には英雄とは言いがたい人物。臆病で調子がよく、状況に合わせて態度を変えるタイプっぽい。ただ、街が求める「英雄像」を理解する頭はあり、そのイメージを演じることで利益を得ようとする。嘘に乗っかる側として、話をさらにややこしくしていく。

嘘が膨らみきった先で、正体が揺らぐ

英雄として振る舞うヌヴィルと、それを支えるエリザベットの即席チームは、次第に無理が出てくる。妹の純粋な気持ち、街の期待、そして当人たちの本音がぶつかり合い、嘘は維持するものから試されるものへ変わっていく。終盤では、誰が何を信じ、何を手放すのかが見えてくる。

この映画のポイントなに?

英雄という存在が、事実よりも「語られ方」で作られていく様子を、かなり軽やかに描いているところ。重たい歴史背景がありつつも、テンポはコメディ寄りで、会話と状況のズレを楽しむ作りになっている。嘘をつく側と信じる側、両方の必死さが噛み合ってズレていくのが見どころっぽい。

たぶんこんな映画

深刻になりすぎず、嘘が嘘を呼ぶ展開をニヤニヤ眺めるタイプの作品。ロマンスもあるけど、理想と現実の差を笑いに変えていく感じが強い。観終わったあと、「英雄って誰が決めてるんだろう」と、ちょっとだけ考えたくなるかもしれない。

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