※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
サイレントナイト/こんな人質もうこりごり
(The Ref)
作品データ
1994年|アメリカ|コメディ
監督:テッド・デミ
出演:デニス・リアリー、ジュディ・デイヴィス、ケヴィン・スペイシー ほか
強盗が一番逃げたくなったのは、警察でも銃でもなく家族だった話
宝石泥棒のガスは、クリスマスイブに失敗した犯行から逃げる途中、偶然出会った夫婦を人質にしてそのまま家へ転がり込む。ところがこの家、表向きは立派な豪邸なのに中身は修羅場。夫婦は常に言い争い、親戚は遠慮なく毒を吐き、クリスマス・ディナーは完全に戦場状態。人質のはずなのに誰にも恐れられず、ガスは家族喧嘩に巻き込まれながら、こっそり脱出のチャンスをうかがうことになる。
物語の主要人物
・ガス(デニス・リアリー)
宝石泥棒。逃走中に成り行きで人質事件を起こす。
・キャロライン(ジュディ・デイヴィス)
人質に取られる妻。夫との関係がかなり冷え切っている。
・ロイド(ケヴィン・スペイシー)
人質に取られる夫。家族との衝突が絶えない。
・ジェシー(ロバート・J・スタインミラー・Jr)
寄宿学校から帰省してくる息子。
・ローズ(グリニス・ジョンズ)
ロイドの母親。家族の集まりをさらにややこしくする存在。
盗み失敗、即包囲網、そして偶然の人質事件
クリスマスイブの夜、ガスは豪邸に忍び込むが警報装置が鳴って即失敗。外へ逃げるとすでに警察に囲まれ、完全に袋小路に追い込まれる。そんな中、たまたま通りかかった車に目をつけ、乗っていたキャロラインとロイドの夫婦を人質に取る。とにかく今は隠れ場所が必要。ガスは二人の家へ逃げ込むことを選ぶ。
人質なのに全然怖がられない、崩壊寸前の家庭
ところが家の中は想像以上にひどい空気。夫婦仲は最悪で、ガスが銃を持っていてもお構いなしに口論が始まる。人質事件より夫婦喧嘩が優先される異常事態。そこへ息子ジェシーが帰宅し、さらにロイドの弟一家と母親まで集まり、クリスマス・ディナーは一気に大所帯になる。ガスは結婚カウンセラーだと嘘をついてその場に居座るが、家族全員が遠慮なく本音をぶつけ合い、罵り合いはどんどん激化していく。
強盗が選んだ結末は、金でも人質でもなく
家族の修羅場に延々付き合わされるうち、ガスは「この家から早く出たい」という気持ちを強めていく。警察、家族、嘘の肩書き、その全部の間でバランスを取りながら、誰にも気づかれず逃げる算段を立て始める。事件としては人質なのに、展開はどんどん家庭内の問題へ寄っていき、最後はこの異常な一夜そのものに区切りがつく。
この映画のポイント
・犯罪映画なのに、主戦場はほぼリビング
・銃より言葉の攻撃力が高い
・クリスマスの「家族が集まる空気」を極端にねじった構図
・人質犯が一番常識人に見えてくる配置
たぶんこんな映画
全体的にずっと会話が止まらなくて、静かな瞬間がほとんどない。クリスマスらしい飾りつけと、全然あたたかくならない人間関係のギャップが続いて、気づくと強盗そっちのけで家族のやり取りを眺めている感じになる。ドタバタしてるのに妙に現実的で、「こういう集まり、なくはないよな…」って距離感で進んでいく一本。

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