※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
スコア
(The Score)
作品データ
2001年|アメリカ|クライム・サスペンス
監督:フランク・オズ
出演:ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン、
マーロン・ブランド、アンジェラ・バセット ほか
完璧主義の泥棒が選んだ「最後の仕事」
主人公ニック・ウェルズは、
モントリオールで活動するベテランの金庫破り。
彼は用心深く、几帳面で、
仕事の後には必ず姿を消すタイプ。
すでに十分な金を稼ぎ、
引退を考えている。
そんな彼のもとに持ち込まれるのが、
「人生最後にして最大の仕事」。
狙いは、
モントリオール税関に保管された
フランス王家の秘宝。
映画は最初から、
これは派手なアクション映画ではないと宣言する。
主役は銃でも爆発でもなく、
段取り・忍耐・疑いだ。
信用できない若者、信用しすぎるベテラン
この仕事を仲介するのが、
裏社会の顔役マックス。
そして、
ニックと組むことになる若い男ジャック。
ジャックは饒舌で、軽く、
どこか信用ならない雰囲気を漂わせている。
一方ニックは、
「信頼できない人間は、そもそも組まない」主義。
この2人の対比が、
映画全体の緊張感を支配する。
- 静かで慎重なベテラン
- 自信満々で計算高い若手
観ている側も、
「どちらが裏切るのか」を
常に考えながら進む構造になっている。
犯罪映画なのに、ほぼ無言
強奪シーンは、
映画のクライマックスでありながら、
驚くほど静かだ。
警報、監視、圧力センサー。
一つのミスが即アウト。
ニックは、
身体に障害を持つ清掃員を装い、
時間をかけて内部に入り込む。
この場面で描かれるのは、
スリルではなく集中。
音楽も台詞も極力排され、
観客は彼の呼吸に引きずられる。
「派手さ」を削ぎ落とすことで、
逆に緊張が増していく。
誰が主導権を握っているのか
物語が進むにつれ、
違和感が積み重なっていく。
- 計画の細部を知りすぎているジャック
- どこか余裕のあるマックス
- すべてを管理しているはずのニックの不安
この映画は、
「裏切り」を派手に見せない。
代わりに、
信頼が少しずつ侵食される感覚を描く。
観客は常に、
「今、誰が一番賢いのか」を考えさせられる。
ひっくり返る“スコア”
終盤、
計画は成功したかに見える。
だが、
最後に明かされる真相によって、
それまでの力関係は完全に反転する。
この映画の面白さは、
どんでん返しそのものではなく、
「最初からそうなるように組まれていた」
と気づかされる点にある。
勝ったのは、
最も強い男でも、
最も経験豊富な男でもない。
最も、
「人の欲と油断を読んでいた男」だった。
老いと引き際の物語
『スコア』は、
若者が成り上がる話ではない。
むしろ、
「いつ降りるべきか」を描いた映画だ。
ニックは、
金庫を破るプロだが、
人生のリスク管理にも長けている。
一方で、
若さと自信は、
しばしば自分が賢いと錯覚させる。
この対比は、
犯罪映画でありながら、
どこか人生論に近い。
静かな豪華共演
- デ・ニーロの抑制された演技
- ノートンの軽やかな危うさ
- ブランドの存在感だけで成立する重み
派手な名場面は少ないが、
俳優の呼吸だけで成立する映画
として非常に贅沢な一本。
スコアは、
クライム映画の形を借りた、
「信用」と「引き際」の物語。
見終わったあとに残るのは、
金庫の仕組みではなく、
人を信じるときの、自分の癖。
静かだけど、
何度も噛みしめたくなるタイプの映画。

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