※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ハンガー
(The Hunger)
作品データ
1983年|アメリカ・イギリス|エロティック・ホラー
監督:トニー・スコット
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ, デヴィッド・ボウイ, スーザン・サランドン ほか
永遠を約束する吸血鬼と、老いに追いつかれた男と、研究者が巻き込まれる話
古代から生きる吸血鬼ミリアムと相棒ジョンは、血を糧に瀟洒な暮らしを続けてきた。ところがジョンが突然、眠れなくなり、信じられない速度で老いていく。永遠は若さとセットじゃなかったと知った彼は、老化研究の医師サラに助けを求める。約束の綻び、選ばれる側と選ぶ側のズレ、そこに芽生える三角関係。欲望と時間がぶつかり、関係は静かに、でも確実に壊れていく。
ざっくり時系列
ミリアムとジョンが若いカップルを誘う
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血を吸い、遺体は地下で処理される
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ジョンが不眠に悩み、急速に老化する
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老年学研究者サラに助けを求める
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最後の手段としてアリスの血を吸うが失敗
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ジョンは棺に閉じ込められる
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ミリアムとサラが関係を結ぶ
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サラが吸血鬼として目覚める
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逆転が起こり、ミリアムは急速に老いる
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サラは新たな仲間とロンドンへ
物語の主要人物
・ミリアム・ブレイロック(カトリーヌ・ドヌーヴ)
永遠の命を与える吸血鬼。選んだ相手と暮らす存在
・ジョン・ブレイロック(デヴィッド・ボウイ)
ミリアムの相棒。若さを失い老化に直面する
・サラ・ロバーツ(スーザン・サランドン)
睡眠と老化を研究する医師。物語に引き込まれていく
永遠の暮らしは、瀟洒な家から始まる
ニューヨークのタウンハウス。クラシックを教える裕福な夫婦の顔、その裏で続く狩り。刃のついたアンクで喉を切り、地下の焼却炉へ。完璧に管理された日常が淡々と描かれる一方で、ジョンの体に小さな異変が積み重なる。眠れない夜、鏡に映る老い。永遠を信じていた男の時間が、急に現実の速度に戻る。
老いが加速し、研究者が交差する
救いを求めた先は、老化を研究するサラの研究室。妄想だと思われ、すれ違う二人。それでも目の前で進む衰弱は否定できない。追い詰められたジョンは禁じ手に手を伸ばすが、結果は変わらない。やがて彼は解放を願うが、それは叶わない。屋根裏の棺に積み上げられた過去が、この関係の正体を静かに語る。
選ばれた側が、選ぶ側に回る夜
孤独を抱えたミリアムはサラを招き入れる。噛み、血が交わる。変化に戸惑うサラ、拒絶と欲望の揺れ。やがて決定的な瞬間が訪れ、力関係は反転する。積み重なった時間が一気に崩れ、ミリアムの身体は急速に老いていく。最後に残るのは、約束の言葉ではなく、選択の結果だけだ。
この映画のポイント
永遠と若さを切り分けるアイデアが物語の芯。瀟洒な美術と冷たい感触の演出が、関係の歪みを際立たせる。吸血鬼ものだけど、怖がらせに来るより、時間と欲望のズレを見せに来る感じ。音楽やクラブの空気感も強くて、ゴス文化と結びついて語られがちなのも納得。
たぶんこんな映画
夜の都会、静かな会話、視線の駆け引き。血よりも、時間の重さがじわっと残るタイプ。観終わると、約束って誰のための言葉なんだろうって、少し考えさせられる。

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