※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
セブン
(SE7EN)
作品データ
1995年|アメリカ|サイコスリラー/クライム
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、
グウィネス・パルトロー、ケヴィン・スペイシーほか
雨が止まない街で起きる連続殺人
『セブン』の舞台となる街には、
名前がない。
でも分かるのは、
ずっと雨が降り続いていて、
空気が重く、
どこか腐っているということ。
この街で起きるのが、
「七つの大罪」をモチーフにした連続殺人事件。
食欲、強欲、怠惰、色欲、傲慢、嫉妬、憤怒。
犯人は、
それを「罰」だと信じている。
正反対の2人の刑事
ベテラン刑事サマセットは、
理性的で冷静、
もうすぐ引退を控えている。
一方の新人ミルズは、
若く、短気で、感情的。
2人はまるで噛み合わない。
でもこの対比が、
映画全体の緊張感を支えている。
サマセットは
「世界はもうダメかもしれない」と思っている人間。
ミルズは
「それでも正義を信じたい」と思っている人間。
犯人ジョン・ドゥという異物
物語の途中で、
犯人は自ら警察に出頭する。
ここから映画は
普通の犯人探しをやめる。
ジョン・ドゥは、
自分を悪だとは思っていない。
彼は
「神の代行者」
だと信じている。
彼の目的は、
捕まることではなく、
最後の罪を完成させること。
「説教」は届いているのか
ジョン・ドゥの殺しは、
猟奇的で残酷。
でも彼の主張は、
意外なほど冷静で、理屈っぽい。
「人々は罪を犯し続ける」
「罰を与えなければ気づかない」
彼の言葉は間違っているけど、
完全に無視できるほど荒唐無稽でもない。
ここがこの映画の怖さ。
有名すぎるラストへの道
荒野へ向かう車。
降りしきる雨は止み、
代わりに強烈な太陽。
宅配便の箱が届く。
中身が何か、
画面には映らない。
でも観客には、
何が起きたのか分かってしまう。
「憤怒」が完成する瞬間
ジョン・ドゥは言う。
自分は「嫉妬」だと。
そして、
ミルズに選択を委ねる。
ここで試されるのは、
正義でも法でもない。
感情。
ミルズが引き金を引いた瞬間、
計画は完成する。
世界は変わらない。
街は救われない。
希望はあったのか
ラストでサマセットは、
「世界は守る価値があると思う」
というヘミングウェイの言葉を引用する。
でも彼自身が、
本当にそう信じているかは分からない。
『セブン』は、
悪が勝つ映画でも、
正義が負ける映画でもない。
世界は腐っていて、
それでも人は生き続ける
という話。
この映画が後に残すもの
『セブン』を見終わると、
スッキリしない。
カタルシスはない。
救いも薄い。
でもこの不快感こそが、
この映画の目的。
「分かった気になった瞬間に、
お前も試されている」
そんな感じの余韻を残して、
映画は終わる。
だから『セブン』は、
何年経っても
“嫌な映画”として語られ続ける。
そして、
その嫌さが、忘れられない。

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