ベンジャミン・バトン 数奇な人生

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。




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ベンジャミン・バトン 数奇な人生
(The Curious Case of Benjamin Button)

作品データ
2008年|アメリカ|ファンタジー/ドラマ/ロマンス
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、
タラジ・P・ヘンソン、ジュリア・オーモンド ほか


生まれた瞬間から、時間は逆に流れ始める

ベンジャミン・バトンは、
老人の姿で生まれ、年を取るほど若返っていくという、
あり得ない運命を背負ってこの世に現れる。

身体は老いているのに、
中身は赤ん坊。

父は彼を捨て、
老人ホームで育てられる。

この設定だけ聞くと、
奇抜でファンタジックな話に思えるけど、
映画がやっていることは意外と地味だ。

派手な奇跡より、
時間が人から何を奪い、何を残すか
ひたすら観察していく。


老人ホームという“時間の縮図”

ベンジャミンが育つ老人ホームは、
この映画の象徴的な場所。

そこでは、

  • 生まれたばかりなのに死にゆく人
  • 長く生きた末に静かに消える人

が、同じ空間に存在している。

ベンジャミンはここで、
「生と死は連続している」
という感覚を、
ごく自然に身につけていく。

彼にとって老いも死も、
特別なものじゃない。


デイジーとの“交差する時間”

物語の軸になるのが、
デイジー(ケイト・ブランシェット)との関係。

彼女は普通に年を取る。
ベンジャミンは逆に若返る。

だから二人の人生は、
長い時間すれ違い続け、
ある一点でだけ重なり合う。

  • 彼が若くなり
  • 彼女が成熟したとき

その瞬間だけ、
二人は“同じ時間”を生きられる。

でもそれは、
永遠には続かない。


ベンジャミンは「特別」だったのか

この映画、
ベンジャミンの人生は確かに特異だけど、
彼自身は決してヒーローじゃない。

戦争に行き、
船に乗り、
恋をして、
別れ、
子どもを持つ。

やっていることは、
ごく普通の人生。

違うのはただ一つ、
時間の向きだけ。

だから観ている側は、
ふと気づく。

これ、設定を逆にしてるだけで
自分たちの人生と同じじゃないか?


若返るほど、失われていくもの

物語の後半、
ベンジャミンは子どもになり、
記憶や自我を失っていく。

若返ることは、
希望でも祝福でもない。

それはただ、
何もできなくなっていく過程

愛した人のことも、
自分が誰だったかも、
少しずつ薄れていく。

ここがこの映画の一番残酷なところ。


時間は、誰にも平等に残酷

この映画が突きつけるのは、

時間は
誰に対しても
同じように奪っていく

という事実。

順向きでも逆向きでも、
結果は変わらない。

  • 出会いは一瞬
  • 別れは必ず来る
  • 同じ瞬間は二度と戻らない

ベンジャミンの人生は極端だけど、
本質は、
誰の人生にも当てはまる。


人生は、向きより「通り方」

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、
奇抜な設定を使いながら、

  • 人はなぜ出会い
  • なぜ別れ
  • なぜ忘れていくのか

を静かに描いた映画。

時間の向きが違っても、
人生の手触りは変わらない。

残るのは、
どんな速さで
どんな風に
その時間を通り過ぎたかだけ。

派手さはないけど、
じわじわ沁みるタイプ。

観終わったあと、
自分の年齢を一度、確かめたくなる一本。

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