※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
(The Big Short)
作品データ
2015年|アメリカ|ドラマ/社会派
監督:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベイル、スティーヴ・カレル、
ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット ほか
世界が壊れる前に、気づいた人たちの話
『マネー・ショート』は、
2008年のリーマン・ショックを題材にした映画。
でも、
「経済の歴史を学ぼう」みたいな顔はしていない。
むしろこの映画、
最初からこう言ってくる。
「これ、めちゃくちゃ複雑だから、
ちゃんと説明しながらやるね」
金融用語が飛び交うたびに、
映画が止まり、
有名人がカメラ目線で解説する。
この“ふざけた説明”が、
逆に本気。
主人公はヒーローじゃない
物語の中心にいるのは、
巨大な悪を倒す正義の味方じゃない。
・変わり者の天才(クリスチャン・ベイル)
・皮肉屋のトレーダー(スティーヴ・カレル)
・調子のいい語り部(ライアン・ゴズリング)
・距離を置く元金融マン(ブラッド・ピット)
彼らは「世界を救いたい」わけじゃない。
ただ、
市場の歪みに気づいただけ。
そして気づいた以上、
賭けるしかなかった。
ざっくり何がヤバかったのか
映画が描く核心はシンプル。
・返せない人に住宅ローンを貸す
・そのローンを束ねて「安全な商品」に見せる
・さらにそれを分解・再包装して売りまくる
数字の上では、
全部“問題なし”
でも現実では、
住宅価格が下がった瞬間に
全部が一気に崩れる。
彼らは、
「これは遅かれ早かれ壊れる」と
気づいてしまった。
勝ってるのに、気分が最悪
この映画の一番変なところ。
彼らは勝つ。
大儲けもする。
でも誰も喜ばない。
なぜなら、
自分たちが儲かる=
社会が壊れる、だから。
リーマン・ショック後、
失業し、家を失い、
人生を壊された人たちが大量に出る。
それを横目に、
自分たちは勝者。
この後味の悪さが、
映画の本体。
コメディなのに、めちゃくちゃ怒ってる
演出は軽い。
音楽もテンポもいい。
ジョークも多い。
でも根底にある感情は、
怒りと呆れ。
・誰も責任を取らない
・失敗しても救済される
・構造はほぼ変わらない
映画は言う。
「これ、過去の話じゃないよ?」
“知ってしまった人”の孤独
この映画は、
知識が人を救う話じゃない。
むしろ、
知ってしまったがゆえに、
気持ちが悪くなる話。
正しさは、
必ずしも報われない。
理解しても、
止められない。
それでも、
「見抜くこと」だけは
できるかもしれない。
これは経済映画じゃなく、現代の寓話
『マネー・ショート』は、
金融を描いた映画の形をしているけど、
本質はもっと広い。
・システムは、誰のためにあるのか
・常識は、本当に正しいのか
・勝者と敗者は、どうやって決まるのか
観終わったあと、
ニュースや数字を見る目が
ちょっと変わる。
それがこの映画の、
いちばん怖い“逆転”かもしれない。

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