※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
スナッチ
(Snatch)
作品データ
2000年|イギリス|クライム/ブラックコメディ
監督:ガイ・リッチー
出演:ブラッド・ピット、ジェイソン・ステイサム、
ベニチオ・デル・トロ、デニス・ファリーナ ほか
とにかく「うるさい」映画
『スナッチ』を一言で言うなら、
情報量とテンポで殴ってくる犯罪映画。
登場人物は多い。
話は同時多発的に進む。
全員、何かしら嘘をつく。
でも不思議と混乱しない。
理由はシンプルで、
この映画は
「筋を追う」より
流れとノリを浴びる映画だから。
発端は、デカすぎるダイヤモンド
物語の中心にあるのは、
とんでもなくデカい盗品ダイヤ。
これを巡って、
・宝石強盗
・闇ボクシング
・ロシアンマフィア
・ギャング
・無能なチンピラ
が入り乱れる。
誰も全体像を把握していない。
だから全員がズレた行動をする。
闇ボクシングと詐欺の世界
ジェイソン・ステイサム演じるトルコと相棒は、
闇ボクシングを仕切る側。
試合は八百長前提。
筋書き通りに進むはずだった。
でもそこに現れるのが、
ブラッド・ピット演じるミッキー。
ミッキーという混乱装置
ミッキーは
アイルランド系のトラベラー。
訛りが強すぎて、
何を言っているかほぼ分からない。
でもボクシングは、
異常に強い。
彼の存在が、
すべての計画を壊していく。
・試合で相手を殺す
・勝つはずの試合で負ける
・負けるはずの試合で勝つ
誰もコントロールできない。
「計画通り」が一度も成立しない
この映画、
ちゃんとした計画が
一度も成功しない。
ギャングは裏切られ、
裏切った側も裏切られ、
偶然がすべてを破壊する。
でもそれが
この映画の思想。
世界は思った通りには回らない。
残酷なのに、なぜか笑える
人は普通に死ぬ。
銃もバンバン撃たれる。
でも描き方が完全にコメディ。
死が唐突で、
意味がなくて、
扱いが軽い。
だから逆に、
「悪党たちの必死さ」が
滑稽に見えてくる。
ギャング映画なのに、誰もカッコつけない
『スナッチ』には、
「孤高のアウトロー」みたいな
主人公はいない。
全員が
小物で、欲深くて、
勘違いしている。
カッコつけた瞬間に、
だいたい死ぬ。
ラストは、運と犬とダイヤ
最終的に残るのは、
知恵でも力でもなく、
運と偶然。
ダイヤは思わぬところに消え、
生き残るのも、
なぜか一番どうでもよさそうな人間。
努力も計画も、
あまり意味がない。
この映画の気持ちよさ
『スナッチ』が気持ちいいのは、
ちゃんと混沌を描いているから。
因果応報でもない。
勧善懲悪でもない。
ただ、
バカなことをすると
だいたい痛い目を見る。
それだけ。
残る印象
見終わったあとに残るのは、
ストーリーより
リズムと台詞。
早口、カット割り、音楽。
深く考えなくていい。
でも雑でもない。
『スナッチ』は、
頭を空っぽにして楽しめる、
よく出来た混乱。
だから何度観ても、
また観たくなる。

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