フューリー

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。




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『フューリー』
(Fury)

作品データ
2014年|アメリカ|戦争/ドラマ
監督:デヴィッド・エアー
出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、
ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ ほか


戦車の中が、世界のすべて

『フューリー』は、
第二次世界大戦末期のヨーロッパが舞台。

でもこの映画、
戦争全体を描こうとはしない。

ほぼずっと、
一台のアメリカ軍戦車
「フューリー号」の中。

狭くて、汚くて、
逃げ場のない空間。

ここが、彼らの世界であり、
生きるか死ぬかの境界線。

観ている側も、
だんだん外の景色を
忘れていく。


ベテランと新兵、噛み合わない現実

戦車の乗組員は、
長く戦場を生き延びてきたベテランたち。

そこに配属されるのが、
戦闘経験ゼロの新兵ノーマン
(ローガン・ラーマン)

彼は人を撃てない。
敵兵を殺すことに
明確な抵抗がある。

でも戦場では、
その「まともさ」が命取りになる。

ベテランたちは、
彼を守るために、
そして生き残るために、
彼を壊そうとする。


ブラッド・ピット演じる“理想なきリーダー”

隊長ウォーダディ(ブラッド・ピット)は、
カリスマ的な英雄ではない。

正しい戦争も、
栄光も、
ほとんど信じていない。

信じているのは、
「部下を生きて帰すこと」だけ。

そのためなら、
冷酷にもなるし、
道徳を踏み越える。

彼は善人でも悪人でもなく、
ただ戦争に適応してしまった人間

そこが、この映画の一番きついところ。


この映画、ずっと不快

『フューリー』は、
気持ちよく観れない。

血と泥と、
恐怖と怒号。

敵も味方も、
区別なく死ぬ。

戦争映画にありがちな
「感動」や「高揚感」は、
意図的に削られている。

代わりに残るのは、
「こんな場所で、人はどう壊れるか」という観察。


ノーマンは、救われたのか?

物語後半、
ノーマンはついに人を撃つ。

彼は成長したのか、
それとも失ったのか。

映画は、
そこをはっきり言わない。

ラストの戦いは、
英雄的でありながら、
どこか空虚。

勝利の音楽はなく、
ただ静かに終わる。


これは“反戦”というより“不可避”の映画

『フューリー』は、
「戦争は悪だ」と
声高に主張しない。

代わりに、
戦争に入った人間は、どうなってしまうか
淡々と見せる。

だからこそ、
観終わったあとに残るのは、
怒りでも感動でもなく、

「戻れない場所がある」

という、
重たい感覚。


正しさが、役に立たない場所

この映画が一番怖いのは、
“正しい人ほど、死にやすい”世界を
リアルに描いているところ。

善悪よりも、
生存が優先される。

『フューリー』は、
戦争を描いた映画というより、
人間が極限でどう変質するか
閉じ込めた記録映像みたいな作品。

観る覚悟はいるけど、
忘れにくい一本。

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