※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
眺めのいい部屋
(A Room with a View)
作品データ
1986年|イギリス|恋愛/文芸
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ヘレナ・ボナム=カーター、ジュリアン・サンズ、
マギー・スミス、ダニエル・デイ=ルイス ほか
型にはめられたお嬢さんが、心の景色に気づいていく話
舞台は20世紀初頭。イギリスの上流階級の若い女性ルーシーは、従妹と一緒にイタリア旅行へ出かける。そこで偶然出会った自由な青年ジョージと、その父親との交流をきっかけに、今まで当たり前だと思っていた価値観が少しずつ揺らいでいく。帰国後、堅実で“正しい”婚約者と結婚の話が進む一方で、イタリアで感じた感情が心の奥に残り続け、ルーシーは自分の本心と向き合うことになる。
きちんとしてるけど迷いだらけな主人公たち
ルーシーは育ちも良くて、礼儀や常識を大事にするタイプ。自分の気持ちよりも「こうあるべき」を優先しがち。
ジョージはその真逆で、思ったことをそのまま口にしてしまう不器用さがあるけど、感情には正直。
周囲には、世間体や階級を重んじる大人たちがいて、みんな悪気はないのに、じわじわとルーシーを縛っていく感じが続く。
イタリアとイギリス、空気がまるで違う
前半の舞台はイタリア・フィレンツェ。明るくて、景色も人も開放的で、感情がそのまま外に出やすい場所。
後半はイギリスの田舎町。整っていて静かだけど、どこか息苦しさが漂う。
場所が変わるだけで、同じ人物たちの振る舞いまで変わって見えるのが、この映画の面白いところ。
気持ちが動いた瞬間を、なかったことにしようとする
イタリアで起きた出来事は、ルーシーにとってかなり大きな衝撃。でも帰国すると、それを「なかったこと」にしようとする流れになる。
婚約話が進み、周囲も安心している中で、ジョージとの再会があり、抑えていた感情がまた顔を出す。
ここからは、感情と理性がせめぎ合う時間が続いていく。
最後に選ぶのは、安心か本音か
物語の終盤で、ルーシーはようやく自分が何に怯えていたのか、何を我慢していたのかに気づいていく。
誰かを傷つけるかもしれない不安や、常識から外れる怖さを抱えながらも、自分の気持ちを無視し続けることの方が苦しいと感じるようになる。
その結果、彼女が選ぶ場所と相手は、とても象徴的な形で描かれる。
この映画のポイントなに?
恋愛そのものより、「自分の感情をどう扱うか」に焦点が当たっている感じが強い。
風景や音楽、沈黙の時間が多くて、派手な出来事は少なめ。でもその分、気持ちの揺れがじんわり伝わってくる。
タイトルの“部屋”が、物理的な景色だけじゃなく、心の在り方にも重なって見えてくる構成になっている。
たぶんこんな映画
大きな事件が起こるというより、気づいたら価値観が少し変わっているタイプの映画。
観終わったあと、「自分は今、どんな景色を見て生きてるんだろう」って考えたくなる余韻が残る。
静かだけど、意外と心の奥に引っかかる一本、そんな印象が残りやすい作品。

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