※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
フランチェスコ
(Francesco)
作品データ
1989年|イタリア|伝記/ドラマ
監督:リリアーナ・カヴァーニ
出演:ミッキー・ローク、ヘレナ・ボナム=カーター ほか
全部持ってた青年が、全部手放していく話
中世イタリア。裕福な商人の息子として育ったフランチェスコは、若い頃は遊び好きで戦争にも参加する、ごく普通の放蕩青年として描かれる。戦争での体験や病をきっかけに、彼の価値観は大きく揺れ始める。やがて神の声を聞いたと感じるようになり、財産や地位を次々と手放し、貧しい人々と共に生きる道を選ぶ。周囲からは理解されず、狂人扱いされながらも、彼は自分が信じた生き方を貫いていく。
迷いながら突き進む、極端に不器用な主人公
フランチェスコは、最初から聖人っぽい人物としては描かれない。
むしろ感情の振れ幅が大きく、衝動的で、周囲を振り回す存在。
だからこそ、彼の変化はゆっくりで、何度も立ち止まりながら進んでいく感じが強い。
彼を見守るクララは、距離を保ちつつも、その変化を静かに受け止めていく立場にいる。
戦争と病、世界が壊れて見え始める
物語の前半は、戦場や捕虜生活など、かなり荒れた状況が続く。
命の軽さや、価値観の脆さが突きつけられる場面が多く、フランチェスコ自身も混乱している。
病に倒れたあと、現実と幻覚の境目が曖昧になり、ここから彼の内面に焦点が移っていく。
捨てる決断が、次の対立を生む
財産を捨て、家族と決裂し、社会的な立場も失っていく流れは一気に進む。
本人は解放された感覚を持っている一方で、周囲から見れば理解しがたい行動の連続。
父親との対立は特に象徴的で、価値観の断絶がはっきり描かれる。
何も持たない生き方を選び続ける
仲間が増え、信者のような存在が集まり始めても、フランチェスコ自身は組織や権威から距離を置き続ける。
奇跡的な出来事が語られる場面もあるけど、それよりも彼の態度や行動の積み重ねが強調される。
最後まで、彼は「正しさ」を証明しようとはせず、自分が信じた生き方を続けていく。
この映画のポイントなに?
宗教映画というより、人が価値観を根こそぎ入れ替えてしまう過程を描いている印象が強い。
聖人としての完成形よりも、迷い続ける途中の姿に時間を割いているのが特徴。
映像や音楽もかなり抽象的で、感情を説明しすぎない作りになっている。
たぶんこんな映画
分かりやすい成功譚や感動話というより、「そこまで捨てる?」って思いながら見続けるタイプ。
フランチェスコの行動に共感するか戸惑うかで、受け取り方がかなり変わりそう。
静かだけど、価値観を揺さぶってくる余韻が残りやすい一本、そんな感じがする作品。

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