※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶
(原題:The Adderall Diaries)
作品データ
2015年|アメリカ|サスペンス・ドラマ
監督:パメラ・ロマノウスキー
出演:ジェームズ・フランコ、エド・ハリス、アンバー・ハード、クリスチャン・スレーター ほか
記憶を売り物にした作家が、自分の過去を疑い始める話
成功した作家が、殺人事件の取材と自伝の出版を同時に進める中で、ずっと信じてきた自分の記憶が揺らぎ始める。父は本当に加害者だったのか。
被害者だった自分は本当に存在したのか。事実と記憶が静かに入れ替わっていく話。
登場人物
・スティーヴン・エリオット
作家として成功する一方、幼少期の虐待体験を引きずり続けている。
・ニール
スティーヴンの父親。息子の語る過去を真っ向から否定する。
・ハンス・ライザー
妻失踪事件で殺人容疑をかけられたIT業界の大物。
・恋人
スティーヴンの現在の支えであり、彼の不安定さに巻き込まれていく存在。
成功の裏に置き去りにされた過去
スティーヴンは作家として名を上げていたが、その根底には壮絶な子供時代があった。
母の死後、父からの身体的・精神的暴力を受け続け、思春期にはドラッグや暴力に傾いていった過去。その体験を綴った自伝が、いよいよ世に出ようとしていた。
裁判を追ううちに、現実が歪み始める
同時期にスティーヴンは、妻失踪事件で逮捕された男の裁判を追い、ノンフィクション作品を書いていた。毎日法廷に通い、事件の細部を追う生活。
しかし集中力は続かず、居眠りや遅刻を重ね、仕事も私生活も少しずつ崩れていく。恋人との関係も悪化し、出版社からも見放されてしまう。
父の一言で、記憶が反転する
追い打ちをかけるように、自伝の出版記念パーティーで父が現れ、「それは嘘だ」と叫ぶ。なぜ否定されるのか分からないまま時間が過ぎ、スティーヴンは父と直接会うことを決意する。
そこで語られた父の話は、スティーヴンが長年信じてきた虐待の記憶を根本から覆すものだった。
この映画のポイント
派手な展開は少なく、ずっと主人公の内側で何かがズレていく感覚が続く。
事実、記憶、自己演出が絡み合い、どこまでが本当なのか分からなくなる構造が中心。裁判の話と家族の話が、静かに重なっていく。
たぶんこんな映画
何が真実かをはっきり教えてくれないまま進んでいく。
観ている側も主人公と同じ位置に立たされて、
「自分の記憶って信用できるのかな」と考え始める感じ。答えより違和感が残るタイプの一本。

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