※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
アメリカの友人
(Der amerikanische Freund)
作品データ
1977年|西ドイツ・フランス|サスペンス
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ ほか
静かな職人が友人の顔をした闇に引きずり込まれていく話
額縁職人のヨナタンは、偶然の出会いをきっかけに、アメリカ人トム・リプリーと関わるようになる。病と金に追い詰められたヨナタンは、知らないうちに犯罪の歯車に組み込まれ、取り返しのつかない選択を重ねていく。友情の顔をした関係が、少しずつ人を壊していく。
登場人物
・トム・リプリー
ドイツに住むアメリカ人。美術の裏取引に関わり、どこか距離感の掴めない男。
・ヨナタン・ツィマーマン
額縁職人。白血病を患い、家族の将来に不安を抱えている。
・マリアンネ
ヨナタンの妻。現実を見据え、夫を支え続ける存在。
・ミノ
フランス・マフィアの男。ヨナタンを殺し屋として利用しようとする。
贋作を見抜いたことで始まる関係
ヨーロッパの競売で、ヨナタンは一枚の絵が贋作であることを見抜く。
それをきっかけに、売り手側にいたトムと接点が生まれる。何気ないやり取りだったはずが、ヨナタンの病状と金の不安が、別の筋に伝わってしまう。
病と金を餌にした誘導
ヨナタンは、病気が悪化していると信じ込まされ、家族のために大金が必要だと思わされる。
そこに持ち込まれるのが「一度きりの仕事」。素人だからこそ足がつかないという理由で、彼は殺しを引き受けてしまう。
日常に紛れ込む暴力
地下鉄、列車内。
日常の延長みたいな場所で、ヨナタンは次々と任務を果たす。銃を持つ姿も、逃げる様子も、どこかぎこちなくて現実味が薄い。観ている側も、これは本当に起きていることなのか分からなくなってくる。
友人という立場の曖昧さ
事態が悪化し、マフィアの追跡を受ける中で、トムとヨナタンは同じ場所に立てこもる。
助けているのか、利用しているのか。トムの態度は最後まで曖昧で、友情という言葉がどこまで本物だったのかははっきりしない。
終わりは静かにやってくる
逃走の末、ヨナタンは妻とともに車を走らせる。
派手な決着ではなく、気づいたときにはすでに取り返しがつかない場所まで来ている。残されるのは、助けたつもりの男と、救われなかった現実だけだ。
この映画のポイント
・サスペンスなのに全体のトーンがとても静か
・友情と利用の境目が最後まで曖昧
・日常風景の中に犯罪が滑り込んでくる感覚
・人物の距離感を重視した演出
たぶんこんな映画
緊張感はあるけど、ずっと低い温度で進む。
誰が悪いと断言しにくく、見終わっても気持ちの置き場が定まらない。
友人という言葉の怖さを、じわっと突きつけてくる一本。

コメント