※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
地獄の黙示録
(Apocalypse Now)
作品データ
1979年|アメリカ|戦争・ドラマ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マーロン・ブランド、マーティン・シーン ほか
川を遡るほど正気が削れていく話
ベトナム戦争の最中、命令を無視して独自の王国を築いたカーツ大佐を抹殺する任務を受けたウィラード大尉が、川を遡りながら戦争の狂気と人間の闇に飲み込まれていく。目的地に近づくほど、任務の意味も善悪の境界も崩れていく。
登場人物
・ウィラード大尉
極秘任務を請け負う工作員。任務のためなら手段を選ばないが、内面は常に不安定。
・カーツ大佐
命令を無視し、ジャングル奥地で神のように崇められている将校。
・キルゴア中佐
空の騎兵隊を率いる派手な指揮官。戦場でもサーフィンを優先する男。
・チーフ
河川哨戒艇の艇長。規則と任務を重んじる現場の人間。
・ランス/シェフ/クリーン
ウィラードと共に川を遡る若い兵士たち。それぞれ違う形で戦争に削られていく。
任務は「英雄を殺せ」
酒に溺れた日々を送っていたウィラードは、ある日呼び出され、カーツ大佐を殺せと命じられる。
カーツは裏切り者であり、同時に軍が生んだ怪物でもある存在。命令は曖昧だが、結論だけははっきりしている。
川を遡る旅の始まり
ウィラードは河川哨戒艇に乗り、仲間と共にジャングルの奥へ進む。
道中では、ヘリで突撃しながらサーフィンを語るキルゴア中佐や、統制の失われた前線基地など、戦争が日常を壊していく光景を次々と目撃する。
正気が少しずつ失われていく
川を進むほど、戦闘は意味を失い、暴力だけが残る。
仲間は次々と命を落とし、生き残った者も心を削られていく。ウィラード自身も、任務と個人の境界が曖昧になっていく。
闇の中心にいる男
ついに辿り着いたカーツの拠点は、死と崇拝が入り混じった異様な空間だった。
カーツは狂人のようでありながら、戦争の本質を誰よりも直視している存在として語る。彼の言葉は、ウィラードの中の価値観を根こそぎ揺さぶる。
終わらない恐怖
カーツは自分の死を受け入れ、ウィラードにそれを託す。
儀式の夜、任務は遂行されるが、達成感も解放感もない。ただ「恐怖」という言葉だけが残る。ウィラードは生き残った仲間と共に、再び川を下っていく。
この映画のポイント
・戦争映画なのに戦争を賛美しない構成
・川を進む=精神の深部に入る構造
・カーツとウィラードの対話が物語の核
・音楽と映像で狂気を体感させる演出
たぶんこんな映画
派手な戦闘を期待すると面食らう。
これは勝ち負けの話じゃなく、人がどこまで壊れるかを見せ続ける映画。
観終わったあともしばらく、頭の中に霧が残るタイプの一本。

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