※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
シド・アンド・ナンシー
(Sid And Nancy)
1986年|イギリス|伝記・ラブストーリー
監督:アレックス・コックス
出演:ゲイリー・オールドマン、クロエ・ウェッブ ほか
パンクの象徴が恋に溺れて転げ落ちていく話
元セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスと、恋人ナンシー。最初は勢いとノリで始まったはずの関係が、愛情と依存と破滅にどんどん寄っていく。物語はナンシー殺害容疑で逮捕されたシドの取り調べから始まり、そこから2人の出会いと転落を回想していく形で進む。
物語の主要人物
・シド・ヴィシャス(ゲイリー・オールドマン)
元セックス・ピストルズのベーシスト
・ナンシー・スパンゲン(クロエ・ウェッブ)
シドの恋人
・ジョニー・ロットン(ドリュー・スコフィールド)
セックス・ピストルズのメンバー
・マルコム・マクラレン(デイヴィッド・ヘイマン)
関係者として登場する人物
逮捕から始まる回想のドア
1978年、シドは恋人ナンシー殺害の容疑で逮捕され、刑事に「ナンシーとはどういう関係だった?」と問われる。そこでシドは、2人の出会いからの流れを思い出すように語っていく。今の状況が最悪だと分かってるからこそ、回想は最初からどこか危うい。
出会い、燃え上がり、周りが置いていかれる
シドとナンシーは強烈に惹かれ合い、周りが止めても止まらないスピードで近づいていく。パンクの空気の中で“それっぽさ”が加速していく一方で、2人の関係は恋というより、生活そのものを侵食していくタイプの結びつきになっていく。楽しい時間もあるのに、同じくらい破滅の匂いも濃くなっていく。
最後に残るのは事件と疑い
物語の現在地は「ナンシー殺害容疑で逮捕されたシド」。だから回想が進むほど、どうしてここまで来てしまったのかが浮き彫りになっていく。取り調べの中で語られる“なれそめ”は、甘い話というより、転がり落ちる坂道を一緒に見ている感覚に近い。そして結末として、ナンシーの死とシドへの疑いが残り、そこから先の現実が突きつけられる。
この映画のポイント
・取り調べから回想へ入る構成
・愛情と依存が絡まり合う関係
・パンクの熱量と、個人の崩れ方の対比
・ゲイリー・オールドマンのシド役が核
・「ラブストーリーっぽいのに息苦しい」独特のテンション
たぶんこんな映画
勢いとエネルギーが強いのに、見終わった後に胸の奥に重たいものが残るタイプ。キラキラした成功物語じゃなくて、2人だけの世界がどんどん狭くなっていく感じがじわじわ来る。派手というより生々しい空気が続いて、最後は現実の冷たさがドンと置かれる一本。

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