Mank/マンク

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アルコール依存症の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツが「市民ケーン」の仕上げを急いでいた頃の1930年代のハリウッドを、機知と風刺に富んだ彼の視点から描く。



Mank/マンク
(原題:Mank)


作品データ

2020年|アメリカ|ドラマ
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ゲイリー・オールドマンアマンダ・サイフリッドチャールズ・ダンス ほか


天才と酒と、ハリウッドの裏側

白黒映像。昔の映画みたいな語り口。
最初から「これはちょっと癖のあるやつだな」という空気が漂ってくる。
舞台は黄金期のハリウッド。その中心にいるのは、皮肉屋でアルコール依存気味の脚本家、ハーマン・J・マンキーウィッツ。
名前より先に、態度と口の悪さが印象に残るタイプ。

ざっくり言うと、一本の脚本が生まれるまでの話

怪我でベッドに縛り付けられたマンキーウィッツは、ある有名映画の脚本を書くことになる。
時間は限られていて、体調も最悪。
それでも過去の記憶を手繰り寄せながら、ハリウッドで見てきた人間たちの姿を書き留めていく。
現在と過去が行き来しながら、少しずつ「この脚本が何を元にしているのか」が見えてくる。

ハリウッドは、夢と計算でできている

華やかなパーティ、豪邸、権力者たちの笑顔。
でも裏では、政治や金、立場が複雑に絡み合っている。
マンキーウィッツはその輪の中にいながら、完全には馴染めていない。
距離を取りつつ、観察して、皮肉を溜め込んでいく感じがある。

マリオンという存在

女優マリオン・デイヴィスは、周囲から軽く見られがちだけど、実はかなり鋭い。
マンキーウィッツとの会話は、遠慮がなくて、どこか対等。
彼女がいる場面では、単なる回想以上の温度が出てくる。
この関係が、話の重心を少し柔らかくしている。

書くことと、奪われること

脚本が形になっていくにつれて、「誰の作品なのか」という問題が浮かび上がる。
協力、利用、功績。
どこまでが正当で、どこからが不公平なのかは、簡単には線引きできない。
マンキーウィッツ自身も、完全に被害者として描かれるわけじゃないのがややこしい。

ラストに向かって

最終的に、脚本は完成し、映画は世に出る。
でも、その過程で失ったものや、飲み込んだ感情は、きれいには回収されない。
勝ったのか負けたのかも、はっきりしないまま、話は終わる。
拍手の音が、少し遠くに聞こえる感じ。

たぶんこんな映画

一本の名作の裏側を描いているけど、成功物語としてはかなり歪んでいる。
才能と性格、正しさと現実が、ずっと噛み合わない。
映画が好きな人ほど、「作る側のしんどさ」に目が向いてしまう、そんな一本。

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