※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ダークホース 〜リア獣エイブの恋〜
(Dark Horse)
2011年|アメリカ|コメディ・ドラマ
監督:トッド・ソロンズ
出演:ジョーダン・ゲルバー, セルマ・ブレア, ミア・ファロー, ジャスティン・バーサ, ドナ・マーフィー, クリストファー・ウォーケン, アーシフ・マンドヴィ ほか
勝ち組になれない男が、自分をダークホースだと思い込む話
30代で実家暮らし、仕事も恋もパッとしない男エイブが、「自分はまだ逆転できる存在だ」と信じたまま、恋と人生に突っ込んでいく。
相手は問題を抱えた女性ミランダ。
現実なのか妄想なのか分からない出来事が次々と起こり、気づくとエイブ自身がどこに立っているのかも曖昧になっていく。
これは成功物語じゃなく、勘違いと希望が静かに絡まっていく話。
ざっくり時系列
実家暮らしのエイブがミランダと出会う
↓
初デートのはずが夢オチのような展開になる
↓
謎の秘書マリーが何度も現れ、忠告めいたことを言う
↓
エイブが突然プロポーズし、一度は断られる
↓
ミランダが気持ちを変え、結婚の話が進む
↓
肝炎の告白と暴力事件が起こる
↓
仕事を失い、家族との関係も悪化する
↓
事故で昏睡状態になり、現実と幻想が混ざり始める
↓
エイブの人生の扱われ方が、別の形で明らかになる
物語の主要人物
・エイブ(ジョーダン・ゲルバー)
実家暮らしの30代男性
・ミランダ(セルマ・ブレア)
過去に挫折を抱える女性
・マリー(ドナ・マーフィー)
エイブの前に何度も現れる秘書
・リチャード(ジャスティン・バーサ)
エイブの親戚で、対照的な存在
・マフムード(アーシフ・マンドヴィ)
ミランダと関わりの深い男性
恋の始まりから、すでにズレている
この映画、最初から雰囲気がちょっと変。
デート、告白、プロポーズと、恋愛映画っぽい出来事は並ぶんだけど、どれも噛み合ってない。
相手の気持ちより、自分の物語を優先してしまうエイブの視点で話が進むから、どこか現実感が薄い。
しかも途中で「それ夢だったの?」みたいな場面が混ざってきて、足場がぐらぐらする。
現実と妄想が入り混じる日常
マリーという人物が象徴的で、彼女はいつも唐突に現れて、エイブに厳しいことを言う。
助言なのか、良心なのか、幻覚なのか、はっきりしない。
仕事を失い、家族からも期待されていないと知り、エイブの世界はどんどん内側に折りたたまれていく。
この辺り、コメディなのに笑いづらい空気が続く。
ダークホースという言葉の正体
終盤、事故と昏睡を経て、エイブの人生はさらに抽象的になる。
誰かにとって重要だったのか、期待されていたのか、それとも最初から物語の外だったのか。
「ダークホース」という言葉が、逆転の希望なのか、親の一方的なラベルなのかが、静かにひっくり返される。
答えははっきり提示されないけど、余韻だけは強く残る。
この映画のポイント
・現実と妄想の境目が曖昧な構成
・主人公の主観に強く寄った描写
・成功や恋愛をアイロニーとして扱っている
・トッド・ソロンズらしい居心地の悪さ
たぶんこんな映画
恋愛映画っぽく始まるけど、見ているとだんだん違う場所に連れていかれる。
共感できるかどうかより、「こういう人、いそうだな」という感覚が残る。
観終わったあと、主人公よりも自分の立ち位置を少し考えてしまう、不思議な後味の作品。

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