※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
名もなき生涯
(A Hidden Life)
作品データ
2019年|アメリカ|歴史・ドラマ
監督:テレンス・マリック
出演:アウグスト・ディール, ヴァレリー・パクナー, マティアス・スーナールツ, ブルーノ・ガンツ
たった一人で「従わない」を選び続けた男の話
戦争の渦の中で、多くの人が流されていく時代。
フランツは、静かな村で家族と暮らす普通の農民だった。
でも、ある一点だけで、彼は周囲と決定的に違っていた。
それは「誓わない」「従わない」という選択を、最後まで引っ込めなかったこと。
ざっくり時系列
フランツが村で家族と暮らす
↓
戦争が始まり、徴兵される
↓
ヒトラーへの忠誠を求められる
↓
誓いを拒否し、村で孤立する
↓
投獄され、裁判を待つ
↓
誓約の機会を何度も与えられる
↓
それでも拒否し続ける
↓
死刑が執行される
物語の主要人物
・フランツ・イェーガーシュテッター(アウグスト・ディール)
オーストリアの農民。信仰と良心に従い続ける。
・フランツィスカ(ファニ)(ヴァレリー・パクナー)
フランツの妻。夫の選択を支え続ける。
・ヘルダー大尉(マティアス・スーナールツ)
軍の将校。フランツに妥協を促す存在。
・ヴェルナー・ルーベン判事(ブルーノ・ガンツ)
裁判を通じて国家の論理を示す人物。
静かな村での、穏やかな日々
オーストリアの山あいの村。
フランツとファニは農地を耕し、
子どもたちと笑いながら暮らしている。
世界が戦争へ向かっていることは知っていても、
この場所だけは、まだ平和だった。
「普通であれ」という圧力
徴兵され、軍に入ったフランツは、
ヒトラーと第三帝国への忠誠を求められる。
署名すれば、命は助かる。
村の人も、教会の人も、
「家族のために」「仕方ない」と説得する。
でもフランツは、それを受け入れない。
選択の代償と、支え合う二人
拒否の代償は大きい。
投獄され、裁判を待ち、
妻と娘たちは村で冷たく扱われる。
それでもフランツとファニは、
手紙を通して互いを支え続ける。
正しいかどうかより、
自分が自分でいられるかどうかを選び続ける。
この映画のポイント
・英雄ではなく、名もなき一人の人生を描いている
・派手な戦争描写より、沈黙と時間が中心
・「正しさ」と「生き延びること」の衝突
・支える側である妻の存在がとても大きい
たぶんこんな映画
声を張り上げる話じゃない。
むしろ、とても静かで、長い。
でも観終わったあと、
「自分ならどうするだろう」と、
ずっと頭のどこかに残り続ける。
名前が残らなくても、
確かに生きた人生があったことを、
そっと置いていくような一本。

コメント