※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
聖杯たちの騎士
(Knight of Cups)
作品データ
2015年|アメリカ|ドラマ
監督:テレンス・マリック
出演:クリスチャン・ベール, ケイト・ブランシェット, ナタリー・ポートマン, アントニオ・バンデラス, ウェス・ベントリー
迷い続ける男が、答えのない場所をさまよう話
ハリウッドで成功しているはずの脚本家リック。
酒と女とパーティに囲まれながら、
彼はずっと何かを失ったまま動けずにいる。
この映画は出来事を追うというより、
彼の内側を、章ごとに歩き回る感覚に近い。
ざっくり時系列
リックが空虚な日常を送っている
↓
様々な女性や人々と関係を持つ
↓
家族の死と向き合う
↓
成功や快楽に違和感を覚える
↓
過去の結婚と喪失を思い返す
↓
何かを求めてさまよい続ける
↓
前に進むきっかけのような出会いがある
物語の主要人物
・リック(クリスチャン・ベール)
成功しているが満たされない脚本家。
・ナンシー(ケイト・ブランシェット)
リックの元妻。彼に静かな言葉を投げかける。
・エリザベス(ナタリー・ポートマン)
既婚者の恋人。深い喪失を共有する存在。
・ジョセフ(ブライアン・デネヒー)
リックの父。家族の痛みを抱えている。
・トニオ(アントニオ・バンデラス)
放蕩的な成功者。リックを享楽の世界へ引き込む。
ハリウッドで始まる、満たされない日々
リックは映画業界で成功しているが、
日々はどこか空っぽだ。
パーティ、豪邸、ホテル、ラスベガス。
刺激は溢れているのに、
心はどこにも留まらない。
出会いごとに映る、別の自分
物語は章ごとに分かれ、
それぞれ一人の人物との関係に焦点が当たる。
反抗的な若い女性、元妻、既婚の恋人、
放蕩者の友人、家族。
彼らとの時間は、
リックの欠けた部分を少しずつ浮かび上がらせる。
喪失と沈黙の先にあるもの
兄を失った記憶、
愛した人との別れ、
手に入れたはずの成功への違和感。
答えははっきり示されない。
ただ、迷い続けることでしか、
次の一歩に辿り着けないことだけが残る。
この映画のポイント
・物語よりも感情の断片を積み重ねる構成
・章ごとにタロット的な意味が重なる
・ロサンゼルスとラスベガスの過剰さ
・主人公の内面が風景として描かれる
たぶんこんな映画
筋を追おうとすると迷子になる。
でも、気分や感覚で眺めていると、
誰かの人生の途中に入り込んだ気がしてくる。
満たされているはずなのに、
ずっと渇いている人の、
終わらない散歩みたいな一本。

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