※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
かごの中の瞳
(All I See Is You)
作品データ
2016年|アメリカ合衆国・タイ|心理ドラマ
監督:マーク・フォースター
出演:ブレイク・ライヴリー, ジェイソン・クラーク, アーナ・オライリー, イヴォンヌ・ストラホフスキー, ウェス・チャタム, ダニー・ヒューストン
目が見えるようになった妻と、見えなくなっていく夫の話
長年盲目だったジーナは手術によって視力を取り戻す。自立し始める彼女とは裏腹に、夫ジェームズは戸惑いと不安を募らせていく。見えるようになったことで世界が広がる妻と、必要とされなくなることに怯える夫。夫婦の関係は少しずつ、静かに、でも確実にズレていく。
ざっくり時系列
盲目の妻と献身的な夫
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角膜移植手術が成功
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妻が自立し始める
↓
夫婦関係がぎくしゃくする
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旅行で決定的な違和感が生まれる
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妻の浮気と夫の秘密
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互いに知っていて言わない状態
↓
「見えていないふり」の正体が明かされる
↓
立場が反転する
物語の主要人物
- ジーナ(ブレイク・ライヴリー)
かつて盲目だった女性。視力を取り戻し世界との距離が変わる。 - ジェームズ(ジェイソン・クラーク)
ジーナの夫。彼女に必要とされてきたことに安定を感じていた。 - ダニエル(ウェス・チャタム)
ジーナが出会う男性。彼女の変化を象徴する存在。 - ヒューズ医師(ダニー・ヒューストン)
ジーナの治療に関わる医師。
見えない世界で成り立っていた、歪だけど安定した夫婦
物語の冒頭、ジーナとジェームズは一見すると穏やかで幸せな夫婦だ。ジーナは失明しており、生活の多くをジェームズに頼っている。彼はそれを苦にする様子もなく、むしろ「必要とされている自分」に満足しているように見える。この関係は不均衡だけど、二人にとっては機能していた。
視力回復がもたらす自由と、取り残される感覚
手術が成功し、ジーナは少しずつ視力を取り戻す。外の世界を自分の目で見る喜び、自分で選び、自分で動ける感覚。その一方で、ジェームズは彼女との距離が急に開いたように感じ始める。旅行先での小さな嘘や食い違いが積み重なり、彼の中に独占欲と疑念が芽生えていく。
お互いに知っているのに、言わないという選択
ジーナは浮気をし、ジェームズは彼女の点眼薬に関する真実を知る。しかし二人とも、それを相手に突きつけない。見えているのに見ない、気づいているのに触れない。やがて明らかになるのは、ジーナが「再び失明したふり」をしていたという事実。立場は完全に逆転し、最後に試されるのは、誰が誰を本当に見ていたのかという問いだ。
この映画のポイント
- 視力という設定を使った関係性の逆転
- 愛情と支配が紙一重で描かれる構成
- 台詞よりも表情と間で進む展開
- 見る側の立場まで揺さぶってくる終盤
たぶんこんな映画
静かで息苦しい空気がずっと流れていて、気づくと逃げ場がなくなっている感じの作品。大きな事件が起こるわけじゃないのに、心の奥をじわじわ締めつけてくる。観終わったあと、自分は誰の立場でこの夫婦を見ていたのか、ちょっと考えさせられる。

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