※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
オー・ブラザー!
(O Brother, Where Art Thou?)
作品データ
2000年|アメリカ・イギリス・フランス|コメディ・ドラマ・ミュージカル
監督:ジョエル・コーエン
出演:ジョージ・クルーニー, ジョン・タートゥーロ, ティム・ブレイク・ネルソン, ジョン・グッドマン, ホリー・ハンター ほか
口だけ達者な男が宝なんて無いのに仲間を連れて大冒険する話
1930年代のアメリカ南部。鎖につながれた囚人たちの中から、やたら口の回るユリシーズが仲間二人を引き連れて脱獄する。目的は「洪水で沈む前に埋めた宝を取り戻す」ため。道中では音楽を録音して大ヒットしたり、怪しい人物に騙されたり、KKKの集会に迷い込んだりと、とにかく寄り道だらけ。最終的に宝は存在しなかったことが判明しつつも、なぜかすべてがうまく転がっていき、ユリシーズは元妻との関係修復を目指して最後の賭けに出る。
ざっくり時系列
脱獄して宝探しに出る
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盲目の男に意味深な予言をされる
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洗礼を受けたり受けなかったりする
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黒人ミュージシャンのトミーと出会う
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ラジオ局で適当に録音した曲が大ヒット
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セイレーンっぽい女性たちに遭遇する
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片目の聖書販売員に騙される
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故郷に戻り妻と再会する
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KKKの集会で大混乱が起こる
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音楽で政治の流れまでひっくり返る
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絞首刑寸前で洪水が起きる
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結局また旅は続く感じで終わる
物語の主要人物
・ユリシーズ・エヴェレット・マッギル(ジョージ・クルーニー)
口が達者な脱獄囚で、行動力と嘘で場を切り抜ける男
・ピート(ジョン・タートゥーロ)
現実的で不運が多い脱獄囚、ユリシーズに振り回されがち
・デルマー・オドネル(ティム・ブレイク・ネルソン)
素直で信心深い脱獄囚、状況をそのまま信じるタイプ
・トミー・ジョンソン(クリス・トーマス・キング)
悪魔に魂を売ったと語るブルースミュージシャン
・ペニー・ワーヴェイ=マッギル(ホリー・ハンター)
ユリシーズの元妻で、再婚を考えている女性
洪水前に宝を掘り起こせと言われたところから始まる
物語は1937年夏のミシシッピ州。鎖でつながれた囚人集団の中から、ユリシーズ、ピート、デルマーの三人が脱獄する。ユリシーズは「もうすぐ洪水で沈む場所に宝を埋めた」と言い張り、その回収が目的だと説明する。道中、手押し車に乗った盲目の男から意味深な予言を受け、この先ろくでもないことが起きそうな空気が一気に広がる。
寄り道ばかりで話が全然進まない
宝探しのはずが、途中で洗礼を受けたり、ラジオ局で歌を録音したり、銀行強盗と行動を共にしたりと、とにかく脱線が続く。ソギー・ボトム・ボーイズとして録音した曲は、本人たちが知らないうちに大ヒット。さらにセイレーンのような女性たちや、片目の聖書販売員など、どこか神話っぽい人物が次々と登場する。旅は進んでいるようで、ほとんど同じ場所をぐるぐる回っている感じもある。
宝は無いとバレて処刑寸前まで追い込まれる
やっと故郷に戻ったユリシーズは、宝が最初から嘘だったことを仲間に明かす。目的は妻の再婚を阻止するためだった。怒りや裏切りが積み重なる中、三人はKKKの集会に遭遇し、トミーを救い出す騒動に巻き込まれる。その後、音楽の力で政治の流れまで変えてしまうが、最後は保安官に捕まり絞首刑寸前に。そこで突然洪水が起こり、全員が救われるという、理屈より勢いの結末を迎える。
この映画のポイント
・ホメロスのオデュッセイアを大胆に南部アメリカに置き換えている
・音楽が物語そのものを動かす役割を持っている
・シリアスな状況でもずっと脱力した笑いが続く
・神話、宗教、政治がごちゃ混ぜで語られる構造
・映像全体がセピア調で統一されている
たぶんこんな映画
昔話と神話とフォークソングを全部ミキサーに突っ込んで、軽口を叩きながらロードムービーにした感じ。話を追おうとすると置いていかれるけど、流れに身を任せると妙に心地いい。ちゃんと意味がありそうで、実は意味なんてどうでもいい、そんな不思議なテンポの映画。

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