※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

ビリー・バスゲイト
(原題:Billy Bathgate)
作品データ
1991年|アメリカ|ギャング/ドラマ
監督:ロバート・ベントン
出演:ダスティン・ホフマン、ニコール・キッドマン、スティーヴン・ヒル ほか
ギャングのそばで大人になってしまった少年の話
裏社会のど真ん中なのに、どこか成長物語っぽい空気も漂っている。
豪華で危うくて、でも少しだけ憧れが混じる世界を、
少年の視点で横から覗き込むような感触の映画。
ゆるっと要約
貧しい少年ビリーが、偶然の縁から大物ギャング、ダッチ・シュルツの周辺に入り込む。
使い走りみたいな立場から始まりつつ、金や暴力、裏切りが当たり前の世界を間近で見ることになる。
ダッチの栄華は徐々に揺らぎ、仲間内の空気も不穏になっていく中で、
ビリーは生き延びるための判断を重ね、最後にはその世界から距離を取る選択に辿り着く。
少年の目に映るギャング社会
ビリーは最初から悪に染まっているわけじゃなくて、
ただ「面白そう」「近くで見てみたい」くらいの好奇心で足を踏み入れている。
だからこそ、派手な金の使い方や大人たちの振る舞いが、
ちょっと誇張されたショーみたいにも見える。
でも、笑っていた場面のすぐ隣に、
取り返しのつかない暴力が置いてあるのが、この世界の普通。
ダッチ・シュルツという存在
ダスティン・ホフマン演じるダッチは、
威圧的で、気分屋で、どこか子どもっぽさも残している人物。
カリスマ的に見える瞬間もあるけど、
感情の振れ幅が大きくて、周囲は常に顔色をうかがっている。
ビリーにとっては、
恐ろしくもあり、奇妙に魅力的でもある大人、
という距離感がずっと続いていく。
華やかさと不安が同時にある時間
パーティー、恋人、金の匂い。
一見すると豊かで自由そうなのに、
誰かが常に何かを恐れている。
その空気を、ビリーは横で感じ取っていく。
理解しきれないまま、でも確実に影響は受けていて、
少しずつ「子どもでいられない側」に寄っていく。
終盤と、その後
抗争や裏切りが現実のものとして迫ってきて、
ギャングの世界は急速に閉じていく。
ビリーは、
このまま残ればどうなるかを想像できる程度には成長していて、
結果的に、距離を取る形で物語は終わる。
成功談というより、
「通り抜けた記憶」みたいな余韻が残る。
たぶんこんな映画
ギャング映画だけど、
一番の主役は暴力よりも観察する視線。
大人の世界に近づきすぎた少年が、
何を学んで、何を持ち帰ったのか。
派手さの裏にある、不安定な成長の感じが静かに残る映画。

コメント