※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
月を追いかけて
(Racing with the Moon)
作品データ
1984年|アメリカ|青春/ロマンス
監督:リチャード・ベンジャミン
出演:ショーン・ペン、エリザベス・マクガヴァン、ニコラス・ケイジ ほか
入隊前の数週間で大人になろうとする若者たちの話
戦争に行く日が決まっていて、時間だけが静かに減っていく。
その中で恋をして、友情を確かめて、将来の話をする。
焦っているようで、どこかのんびりもしている、不思議な空気の話。
何が起きるかを一気にまとめると
第二次世界大戦中のアメリカ。
入隊を控えた若者たちが、地元の町で最後の自由な時間を過ごしている。
主人公のヘンリーは、仲間のニックスと一緒に、
恋や仕事、将来についてあれこれ考えながら日々を送る。
その中で出会った女性との関係が、
残された時間の重みを少しずつ浮かび上がらせていく。
真面目寄りな主人公と、勢い型の相棒
ヘンリーは、どちらかというと慎重で、
物事を一度立ち止まって考えるタイプ。
一方のニックスは直感重視で、
楽しめる時に楽しもうとする性格。
同じ状況にいながら、時間の使い方が微妙に違って見える。
小さな町が世界の中心になる
舞台は海沿いの小さな町。
ダンスホール、海辺、家の前の通り。
行動範囲は狭いけど、
そこが彼らにとっては今の世界のすべて。
外に広がる戦争の気配は、
遠くからじわっと近づいてくる。
恋と現実が少しずつ噛み合わなくなる
ヘンリーは女性に惹かれていくけど、
将来が決まっている状況が、関係を素直にさせない。
一瞬の気持ちと、その先の現実。
どちらも無視できなくなって、
選択がどんどん難しくなっていく。
別れが避けられないところまで進む
やがて入隊の日が近づき、
誰もが同じ場所に留まれないことがはっきりする。
大きな事件が起こるというより、
時間が来たから終わる、という形で物語は動く。
それぞれが、納得しきれない気持ちを抱えたまま前に進む。
この映画のポイントは「待っている時間」
戦争そのものはほとんど描かれない。
描かれるのは、行くと決まっている場所を前にした、
宙ぶらりんな時間。
何も起きていないようで、
心の中ではいろんなものが動いている。
たぶんこんな映画
派手な青春ではなく、
思い出として後から静かに残るタイプ。
月を見上げるみたいに、
手が届かない未来をぼんやり追いかけていた感覚が、
そのまま映画になっている気がする。
観終わったあと、
「若い頃のあの数週間」を思い出す人も多そう。

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