※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

シンパシー・フォー・ザ・デビル
(Sympathy for the Devil)
作品データ
2023年|アメリカ合衆国|スリラー
監督:ユヴァル・アドラー
出演:ニコラス・ケイジ、ジョエル・キナマン ほか
赤の他人同士が一晩で地獄みたいな関係になる話
普通に家族のもとへ帰ろうとしていた男が、見知らぬ相手を車に乗せたことで、逃げ場のない夜に引きずり込まれる。最初は会話が成立しているようで、どこか噛み合っていない。
空港から始まる、よく分からない同乗
主人公は出産を控えた妻のもとへ急いでいて、空港で強引に声をかけてきた男を仕方なく車に乗せる。相手は理由も目的もはっきり言わず、行き先だけを指定してくる。その時点で嫌な空気は漂っているけど、引き返すタイミングはもう過ぎている。
焦る一般人とテンション不安定な男
運転している主人公は、できるだけ波風を立てずにやり過ごしたいタイプ。一方で同乗者は感情の起伏が激しく、急に饒舌になったり、黙り込んだりする。冗談なのか本気なのか分からない言動が続いて、車内の緊張感が上がっていく。
舞台はほぼ車と夜の街
物語の大半は車の中と、立ち寄る数カ所の場所で進む。逃げ場はあるようでなく、どこへ行っても同じ二人きりの状況が続く。夜の街の明かりがやけに冷たくて、安心できる場所が見当たらない。
駆け引きと暴力が交互に現れる
会話の主導権を巡るやり取りが続く中で、突然暴力的な展開が差し込まれる。理由が説明されないまま事態が悪化していって、主人公は選択を迫られる立場になる。相手の正体や目的が少しずつ見えてくるけど、全部が理解できるわけじゃない。
役割が反転していく終盤
物語が進むにつれて、どちらが支配しているのか分からなくなっていく。被害者に見えた側にも別の顔があって、単純な構図では終わらない。最終的には、それぞれが抱えていたものが表に出て、夜は一つの形で区切りを迎える。
善悪が曖昧なまま進む構成
誰が正しいとか、どちらが悪いとか、簡単に整理できない。会話と表情の積み重ねで緊張を作っていくタイプで、説明より雰囲気が前に出ている。感情の揺れがそのまま物語の推進力になっている。
たぶん、二人の空気感を味わう映画
派手な展開より、会話の違和感や沈黙が印象に残る。何が起きているのかを理解するというより、その場に一緒に乗せられている感覚を楽しむタイプ。観終わったあとも、あの車内の空気が頭に残り続ける一本。

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