※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
Dr.パルナサスの鏡
(The Imaginarium of Doctor Parnassus)
作品データ
2009年|イギリス・カナダ|ファンタジー
監督:テリー・ギリアム
出演:ヒース・レジャー、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル ほか
想像力で魂を取り合う話
千年以上生きてる語り部が、悪魔と賭けを続けながら、人の心を舞台に物語を回していく。現実と空想が鏡一枚でひっくり返る感じで、何が本当かより「どう見えるか」が前に出てくる導入。
ざっくり全体要約
不老の語り部ドクター・パルナサスは、悪魔ミスター・ニックと魂を賭けた勝負を繰り返してきた人物。ある条件付きの賭けに負けそうになり、今度は娘ヴァレンティナの魂が対象になる。そんな中、記憶を失った男トニーを助け、見世物一座に迎え入れる。鏡の向こうの想像世界では人の欲望が具現化し、トニーの存在が賭けの行方を大きく揺らしていく。
物語を語り続ける男と、選びたい娘
パルナサスは、理想と後悔を抱えた語り部。語ることで世界を保っているけど、同時に過去に縛られている感じも強い。
娘のヴァレンティナは、父の世界に守られつつも、外の現実に惹かれていく。自分で選びたい気持ちと、運命に組み込まれている不安が常に同居している。
鏡をくぐると世界のルールが変わる
舞台は旅回りの小さな見世物一座と、鏡の中の想像世界。鏡を通ると色彩も物理法則も変わり、願いや欲がそのまま景色になる。現実側が地味な分、向こう側の歪みが際立って見えてくる。
正体不明の男が賭けをかき回す
トニーは人当たりが良く、話もうまい。でも何を考えているかは最後まで掴みにくい。鏡の中では姿まで変わり、その都度、別の魅力や危うさが前に出てくる。彼の選択が、パルナサスと悪魔の勝負を予想外の方向へ押し流していく。
勝ち負けより、何を選んだか
終盤では、魂の数よりも「誰が何を選ぶか」が焦点になっていく。賭けの結果は一応の決着を見るけど、完全な勝利感はなく、それぞれが背負うものだけがはっきり残る。物語を語り続ける意味も、少し形を変えて示される。
想像力そのものを舞台装置にした感じ
CGもセットも派手だけど、見せたいのは映像より発想。理屈より連想で進む場面が多くて、整っているというより、転がしながら作っている感覚が強い。
たぶん、物語を信じる力を試す映画
筋を追うより、流れに身を任せるほうがしっくりくる。現実と空想の境目が曖昧なまま進んで、観終わった後に「あれは何だったんだろう」って考えたくなる余白が残りやすい一本。

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