※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
クレイジー・イン・アラバマ
(原題:Crazy in Alabama)
作品データ
1999年|アメリカ|ドラマ/コメディ
監督:アントニオ・バンデラス
出演:メラニー・グリフィス、ルーカス・ブラック、ミート・ローフ ほか
夢を追う女と、現実を直視する少年の話
とにかく前しか見ない大人と、否応なく現実を見せられる子ども。
同じ家族なのに、向いている方向はまるで違う。
この映画は、夢と現実が同時進行で進んでいく、不思議なバランスの物語。
ハリウッドを目指す旅と、地元で起きる事件の
南部アラバマで暮らすルシールは、女優になる夢を捨てきれず家を出る。
一方、残された甥のピーヴィーは、地元で起きたある殺人事件に巻き込まれていく。
ルシールはハリウッドでチャンスを掴もうと奮闘し、
ピーヴィーは差別や偏見が色濃く残る社会の現実と向き合うことになる。
二人の物語は別々に進みながら、同じテーマを映し出していく。
夢一直線の叔母と、観察者になっていく少年
ルシールは明るくて自信満々。
多少のトラブルも、夢の途中だと思って突き進むタイプ。
ピーヴィーは冷静で、周囲の大人たちをよく見ている。
無邪気さと現実感の差が、二人の距離としてはっきり見えてくる。
1960年代アメリカ南部と、西海岸の対比
時代は1960年代。
舞台は人種問題が緊張をはらむアラバマと、夢が集まるハリウッド。
片方では古い価値観が支配し、もう片方では新しい可能性が語られる。
場所が変わるたびに、空気の重さも軽さもはっきり切り替わる。
事件と夢が、それぞれに重くのしかかる
ピーヴィーの周囲では、殺人事件の裁判が進んでいく。
正義や真実が、簡単に通らない現実が見えてくる。
一方ルシールは、夢の世界でも理想通りにはいかない壁にぶつかる。
二つの物語は別方向なのに、同じくらい厳しい。
成長と選択が、それぞれの形で示される
終盤では、裁判の行方と、ルシールの夢の結果が見えてくる。
完全な成功や救いがあるわけじゃない。
それでも、ピーヴィーは世界を見る目を一段階変え、
ルシールも自分の生き方を選び直すことになる。
二人とも、以前とは違う場所に立っている。
この映画のポイントなに?
コメディの軽さと、社会問題の重さが同時に存在している。
夢を見る力と、現実を知る痛みが対比されている。
少年の視点があることで、出来事が過度に誇張されずに伝わってくる。
監督としてのアントニオ・バンデラスの視線も、作品全体に滲んでいる。
たぶんこんな映画
明るい話だと思って観ると、思ったより考えさせられる。
重いテーマだと思って観ると、意外と軽やかな瞬間も多い。
夢を見ることと、現実を知ること、その両方を一度に味わう余韻が残りやすい一本。

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