※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ペイン・アンド・グローリー
(原題:Pain and Glory)
作品データ
2019年|スペイン|ドラマ
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス、ペネロペ・クルス、アシエル・エチェアンディア ほか
創作に行き詰まった映画監督が、自分の過去と体に向き合う話
長く第一線でやってきた映画監督が、気づけば心も体も思うように動かなくなっている。新作は撮れない、体の痛みは増える、気力も続かない。そんな状態のまま、昔の出来事や忘れていた人たちが、少しずつ現在に入り込んでくる。
ざっくり全体要約
主人公サルバドールは、成功した映画監督だけど、慢性的な痛みと創作の停滞に悩まされている。昔の作品をきっかけに、過去に衝突した俳優と再会し、そこから記憶が次々と蘇っていく。幼少期の母との生活、初めて芽生えた感情、失った関係。現在のサルバドールは、過去を振り返りながら、自分がなぜ映画を撮ってきたのかを静かに辿っていく。
痛みを抱えたまま立ち止まるサルバドール
サルバドールは、外から見れば成功者だけど、内側はかなりボロボロ。体の不調が日常を支配していて、ちょっとしたことにも疲れてしまう。人との距離もどこか遠くて、自分の殻に閉じこもっているように見える。その状態が、過去を振り返るきっかけになっていく。
現在と記憶が混ざり合う時間と場所
物語は、現在のマドリードと、幼少期を過ごした田舎の記憶を行き来する。水辺の風景、母の姿、住んでいた家。はっきり説明されるというより、感覚として差し込まれてくる感じで、時間が直線じゃなく揺れていく。
再会が引き出す過去の感情
昔の俳優との再会や、思いがけない人物との接点が、サルバドールの中にしまい込まれていた感情を呼び起こす。後悔、感謝、愛情、未練。そのどれもが整理されないまま浮かび上がってきて、今の自分に重なっていく。
過去を受け入れることで見えてくるもの
話が進むにつれて、サルバドールは「痛み」そのものを否定しなくなっていく。体の痛みも、心の傷も、人生の一部として抱え直すような流れになる。そこから、創作と再び向き合うための小さな一歩が見えてくる。
この映画のポイントなに?
派手な事件が起きるわけじゃなく、感情や記憶の動きが中心になっているところ。色彩や空間の使い方で、心の状態が自然に伝わってくる。監督自身の人生と重なる部分を感じさせつつ、個人的な話に閉じすぎないバランスが特徴。
たぶんこんな映画
静かで、内側に潜っていく時間が長い。観ていると、誰かの人生を覗いているというより、自分の記憶にも触れられている気分になる瞬間がある。年を重ねること、失うこと、それでも続いていくことを、そっと差し出してくる一本、そんな余韻が残る。

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