※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ゼロの未来
(The Zero Theorem)
作品データ
2013年|イギリス|SF・ドラマ
監督:テリー・ギリアム
出演:クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ティエリー、デヴィッド・シューリス、ルーカス・ヘッジズ ほか
世界の意味を計算し続ける男の話
近未来の管理社会。引きこもり気味の天才数学者コーエン・レスは、「ゼロの定理」と呼ばれる謎の数式を完成させる仕事を命じられる。彼は自宅兼職場となった廃教会にこもり、ひたすら計算を続ける日々を送っている。外の世界では巨大企業が人々の生活を管理し、意味や価値すら数値化しようとしている。そんな中、コーエンは仕事、恋愛、他人との関わりを通して、自分が求めているものが何なのか分からなくなっていく。
コーエンという、孤独が服を着て歩いている人
コーエンは極端に内向的で、人との接触をできるだけ避けて生きている。電話が鳴るだけで落ち着かなくなるタイプ。計算は得意だけど、感情の扱いはかなり不器用そうに見える。意味のある世界を信じたいのか、すべては無意味だと証明したいのか、その境目で揺れている感じがずっと続く。
舞台は派手で騒がしいのに、心は閉じている
街は広告やデータにあふれ、常に誰かに見られているような空気がある。一方で、コーエンの生活圏はほぼ室内。廃教会という場所も象徴的で、祈りの場だった空間が、計算と孤独の場所になっている。外の世界の騒音と、内側の静けさのギャップがかなり大きい。
計算の仕事と、人との関係が絡まり始める
ゼロの定理の計算は順調そうに見えつつ、どこか堂々巡りになっていく。そこに上司や監視役、若い訪問者、そして謎めいた女性が関わってきて、コーエンの日常は少しずつ崩れていく。人と関わるほど、計算だけでは片付かない感情が増えていく流れになる。
答えを出そうとするほど、別の問いが増える
物語の後半では、ゼロの定理そのものが何を意味しているのかが揺らぎ始める。世界に意味があるかどうかよりも、自分がどう生きたいのかという問題が前に出てくる。計算のゴールと、人生のゴールが一致しないことに、コーエン自身が気づいていく。
この映画のポイントっぽいところ
テリー・ギリアムらしい、情報過多でどこか歪んだ未来世界のビジュアルが強烈。哲学的なテーマを扱いながら、登場人物はかなり人間臭い。難しいことを考えているようで、実はすごく個人的な孤独の話として進んでいく感じがある。
たぶんこんな映画
答えをはっきり示すタイプではなく、考え続ける時間を投げてくる一本。映像や設定は派手だけど、中心にあるのは一人の人間の迷い。観終わったあと、意味とか価値とかを、ちょっとぼんやり考えたくなるタイプっぽい。

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