※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ビッグ・アイズ
(Big Eyes)
作品データ
2014年|アメリカ|ドラマ
監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、テレンス・スタンプ ほか
大きな瞳の絵が、別の名前で広まっていく話
画家として静かに生きていたマーガレットは、社交的で自信満々なウォルターと結婚する。彼女が描いた「大きな瞳の子どもたち」の絵は注目を集め始めるが、なぜか世の中ではウォルターの作品として売り出されていく。最初は流れに身を任せていたマーガレットも、成功が大きくなるにつれて違和感を抱え込み、夫婦関係と創作の在り方が少しずつ歪んでいく。
マーガレット、描く人だけど前に出ない
マーガレットは繊細で内向的。絵を描くこと自体が自分の居場所のようで、評価や名声には執着していない様子がある。一方で、自分の絵が誰の名前で世に出ているのかという問題には、心のどこかで引っかかり続けている。その葛藤が、表情や行動の端々ににじんでくる。
ウォルター、語るのがうまい人
ウォルターはとにかく話術に長けていて、場の空気をつかむのが早い。自信満々で、成功のイメージを売ることに迷いがない。その一方で、話が大きくなるほど、現実とのズレも膨らんでいく。周囲にはカリスマ的に映るが、家庭内では別の顔を見せ始める。
舞台はアートが商品になる時代
物語は1950〜60年代のアメリカ。アートがギャラリーだけでなく、大衆向けの商品として広がっていく時代背景がある。複製画やポスターが大量に売れ、絵の価値と名前の価値が切り離されていく。その流れの中で、マーガレットの絵は一気に有名になっていく。
嘘が積み重なっていく日常
成功が続くほど、マーガレットは描き続けることを求められ、ウォルターは前面に立ち続ける。夫婦の役割分担は固定され、疑問を口に出しづらい空気が出来上がっていく。周囲の期待と家庭内の圧力が重なり、逃げ場のない状態が続いていく。
立場が変わり始める終盤
やがてマーガレットは、自分の人生と作品をどう扱うのかを考え直すようになる。絵を描く手は止まらなくても、黙り続けることへの迷いが強くなる。関係性が崩れ、表に出なかった問題が一気に形を持ち始める。
この映画のポイントっぽいところ
派手なファンタジーより、現実の人間関係に寄ったティム・バートン作品。色使いや美術は独特だけど、物語自体はかなり地に足がついている。創作と評価、名前と中身のズレが、静かに積み重なっていく感じが印象に残る。
たぶんこんな映画
アートの世界を描きつつ、ひとりの人が自分の声を取り戻していく流れを追う一本。大きな事件が連続するというより、心の中の変化を見守る時間が長め。観終わったあと、作品の「作者」という言葉を少し考えたくなるタイプっぽい。

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