※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
おとなのけんか
(Carnage)
作品データ
2011年|アメリカ|会話劇・コメディ
監督:ロマン・ポランスキー
出演:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー ほか
礼儀正しい話し合いが静かに崩壊していく話
公園で起きた子ども同士の小さなトラブルをきっかけに、双方の親二組が一つのアパートに集まる。最初は落ち着いた話し合いのつもりで、コーヒーを飲みながら言葉を選んで進めていく。ただ、会話が進むにつれて価値観や感情のズレが表に出はじめ、空気は少しずつ変わっていく。表向きの大人の態度と、本音がぶつかり合う時間が続いていく。
きちんとした大人たち、でも中身はバラバラ
フォスターとウィンスレットの役どころは、理性的に振る舞おうとする母親たち。ただ、その理性は完璧ではなく、相手の一言で簡単に揺らぐ。一方、ヴァルツとライリーは一見穏やかそうで、場を和ませようとする姿勢も見せるが、それぞれ別のところに地雷を抱えている感じ。四人とも、正しさの基準が微妙に噛み合っていない。
舞台はほぼ一室、逃げ場はない
物語のほとんどはアパートのリビングで進む。外に出れば終わりそうなのに、なぜか全員がその場に留まり続ける。閉じた空間だからこそ、ちょっとした沈黙や視線のズレが妙に目立つ。時間が経つにつれて、部屋の空気が重くなっていく感覚が伝わってくる。
会話が進むほど、論点がずれていく
最初は子どものケンカの話だったはずが、教育方針、仕事観、夫婦関係、社会への不満など、話題はどんどん広がっていく。誰かが正論を出すたびに、別の誰かが反発し、さらに別の方向へ話が飛ぶ。落ち着こうとする試みが、逆に火に油を注ぐ流れも多い。
感情がむき出しになる終盤
後半になると、取り繕っていた大人の顔が崩れていく。言葉遣いも態度も変わり、最初に目指していた「円満な解決」は遠のいていく。それぞれが何を守りたかったのか、何に腹を立てていたのかが、少しずつ見えてくる。
この映画のポイントっぽいところ
派手な事件や展開はほとんどなく、会話と空気の変化だけで進んでいく構成。四人のやり取りを追っているうちに、立場が何度も入れ替わる感じがある。笑っていいのか、気まずさを感じるべきなのか、感情の置き場が揺れる時間が続く。
たぶんこんな映画
短い時間の中で、人間関係の面倒くささがぎゅっと詰まっている一本。大人としての理想と現実のズレが、静かに、でも確実に浮かび上がってくる。観終わったあと、何気ない会話を少し思い返したくなるタイプっぽい。

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