※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
薔薇の名前
(The Name of the Rose)
作品データ
1986年|イタリア・フランス・西ドイツ合作|ミステリー・歴史ドラマ
監督:ジャン=ジャック・アノー
出演:ショーン・コネリー、クリスチャン・スレーター、F・マーリー・エイブラハム ほか
修道院で起きた怪死事件を、理屈と観察で追い詰めていく話
14世紀の修道院で連続して起こる不可解な死。悪魔の仕業と噂されるなか、元異端審問官ウィリアムと若き修練士アドソが、理性と推理だけを武器に真相へ近づいていく話。
信仰、知識、権威が絡み合い、最後には修道院そのものが崩れ落ちていく。
登場人物
・バスカヴィルのウィリアム
元異端審問官。観察力と論理を重視し、超自然的な説明を疑う人物。
・メルクのアドソ
ウィリアムの弟子で修練士。物語の語り手として事件を見つめる。
・ホルヘ
盲目の長老修道士。「笑い」を強く否定する思想の持ち主。
・アッボーネ院長
修道院をまとめる立場で、怪死事件に強い不安を抱いている。
寒さと沈黙に包まれた修道院への到着
物語は、北イタリアの山中にそびえる巨大な修道院を見上げる場面から始まる。時代は1327年。老いたアドソの回想として、若き日の恐るべき体験が語られていく。
ウィリアムとアドソは修道院に到着し、院長アッボーネから歓迎を受けるが、その空気はどこか重たい。最近、若い修道士が死亡したという。
しかも図書館には窓がないのに、転落死とされている。理由は分からず、修道士たちの間には不安が広がっていた。
ウィリアムはこの怪死事件の調査を引き受け、修道院の内部へと足を踏み入れていく。
理性で探る調査と、不気味な思想の衝突
ウィリアムは遺体発見現場を調べ、地形や状況から事故の可能性を検証する。その後、写字室へ向かい、亡くなった修道士が関わっていた写本を確認する。そこには風刺的な挿絵があり、ウィリアムはそこに「ユーモア」を見出す。
しかし、この修道院では「笑い」は忌み嫌われていた。盲目の長老ホルヘは、笑いは人間にとって悪であり、信仰を腐らせるものだと断言する。ウィリアムはそれに理屈で反論するが、思想の溝は深い。
夜になると、鞭で体を打つ音、意味深な読書、不可解な行動が重なり、修道院全体が異様な緊張に包まれていく。
知識が隠され、死が重なっていく
調査が進むにつれ、図書館という場所の異常さが浮かび上がってくる。
誰がどの本を読めるのか、何が隠されているのかは厳密に管理されている。
怪死は一件では終わらず、修道士たちはますます怯え、悪魔や呪いの噂が強まっていく。一方でウィリアムは、すべてに人間の手と意図があると考え、論理的に痕跡を追っていく。
やがて事件の核心は、「ある本」と「笑い」に関わる思想へと収束していき、
修道院に張りつめていた均衡は崩壊していく。
こんな感じの映画
重くて静かな空気がずっと続くけど、その分、じわじわ引き込まれるタイプ。
派手さよりも、寒さ、沈黙、視線の怖さが残る一本。考えごとしながら観てると、いつの間にか修道院の中に放り込まれた気分になる。

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