※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ヒューマンネイチュア
(Human Nature)
作品データ
2001年|アメリカ・フランス|ブラックコメディ
監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:パトリシア・アークエット、リス・エヴァンス、ティム・ロビンス ほか
猿だと思い込む男と文明を信じる人たちが盛大にこじらせる話
猿に育てられ自分を猿だと信じて疑わない男パフが、人間社会に引き戻され、文明や教育、恋愛や支配に振り回されていく。毛深さを隠して生きる女と、ネズミにテーブルマナーを教えようとする博士が絡み合い、「人間らしさって何?」という問いが、どんどん変な方向へ転がっていく。
登場人物
・ライラ
宇宙一毛深い女性。体毛を隠しながら人里離れて暮らしていたが、文明との距離感が独特。パフと出会い、奇妙な関係を築く。
・パフ
猿に育てられた男。自分を完全に猿だと思っている。文明を知らずに生きてきたが、研究者に捕まり「人間化」されていく。
・ネイサン
ネズミにテーブルマナーを教えようとする博士。文明と教育に強い信念を持ち、パフを研究対象として扱う。
・ガブリエル
ネイサンの恋人。パフの存在をきっかけに、感情と立場が揺れ動く。
・ネイサンの両親
教育と規範の象徴のような存在で、ネイサンの価値観の土台になっている。
森で始まる奇妙な文明拒否生活
物語は、文明から完全に距離を置いた森の生活から始まる。ライラは体毛を隠しながら、人目を避けて暮らしており、そこで猿のように生きるパフと出会う。二人の生活は、不便だけどどこか安定していて、人間社会とは別のルールで成り立っている。
研究という名の文明介入
その静かな暮らしは、ネイサンによって破壊される。パフは研究対象として捕まり、言葉、服、食事作法といった「人間らしさ」を徹底的に叩き込まれる。
一方でネイサンは、自分こそが文明の正しさを体現していると信じ、教育する側の立場に酔っていく。文明化が進むほど、パフの存在は純粋さを失い、周囲の人間関係も歪んでいく。
人間らしさが暴走した末に
文明を教える側、教えられる側、その周囲にいる人たちの思惑が絡み合い、物語はどんどん混線していく。
誰が一番「人間的」なのか、誰が一番「野蛮」なのかが分からなくなり、最終的には、教育も恋愛も善意も、全部が裏目に出る形で収束していく。
この映画のポイント
・文明と野生をきれいに分けず、両方を同時に笑いの対象にしている
・教育や矯正という行為の危うさを、極端な設定で描いている
・登場人物全員が、自分の正しさを信じて疑わない
・映像や展開が現実っぽいのに、考えてみるとずっとおかしい
たぶんこんな映画
真面目そうな顔で、とんでもないことをやっている人たちを、ずっと眺める感じ。
野生か文明か、どっちが上かじゃなくて、「人間ってこういう面倒な生き物だよね」という空気が、静かに、でも執拗に漂っている一本。
観終わったあと、笑っていいのか戸惑いながら、じわっと変な感触だけが残る映画。

コメント