※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ボブ・ディランの頭のなか
(原題:Masked and Anonymous)
作品データ
2003年|アメリカ|ドラマ/音楽
監督:ラリー・チャールズ
出演:ボブ・ディラン、ジェフ・ブリッジス、ペネロペ・クルス ほか
歌う男が、世界の混乱をそのまま放り出す話
内戦で荒れ果てた国に、伝説的ミュージシャンが解き放たれる。彼は答えを示すわけでも、問題を解決するわけでもない。ただ歌い、言葉を投げ、混乱の只中に立ち続ける。筋よりも空気で進んでいく話。
登場人物
・ジャック・フェイト
投獄されていたミュージシャン。釈放され、コンサートに向かう。
・アンクル・スウィートハート
ジャックの元マネージャー。コンサートを企画する人物。
・ニナ・ヴェロニカ
イベントに関わる女性。現実的な調整役。
・エドムンド
新しく大統領に就任した男。強硬な姿勢を取る。
刑務所から、ステージへ
近未来、内戦が続く混乱の国。投獄されていたミュージシャン、ジャック・フェイトは、チャリティーコンサートへの出演を条件に釈放される。迎えに来たのは、かつてのマネージャーたち。彼は抵抗も説明もなく、流されるように会場へ向かう。
歌の準備と、国の異変
会場に着いたジャックは、淡々とリハーサルを重ねる。一方その裏で、国は大きく揺れる。大統領が死去し、息子のエドムンドが新たな大統領に就任。国の空気は一気に強硬な方向へ傾いていく。
音楽と権力がぶつかる
エドムンドは軍を動かし、コンサートを弾圧しようとする。会場は混乱し、人々は怒号と不安に包まれる。そんな中でもジャックは、歌うことをやめない。彼の歌は命令でも答えでもなく、ただそこにある。
何も説明しないという態度
この映画は、分かりやすく意味を整理してくれない。登場人物は抽象的で、台詞も詩のように流れる。ジャック自身も、自分が何を背負っているのかを語らない。ただ歌と存在感だけが、場に残り続ける。
この映画のポイント
物語を理解するより思考を揺さぶる構造。政治劇のようでいて、寓話でもあり、音楽映像でもある。ボブ・ディランそのものを、役としてではなく現象として扱っている。
たぶんこんな映画
意味を掴もうとすると逃げていく。雰囲気に身を任せると、妙に引っかかる。観終わったあと、内容を説明するのが難しいけど、何かは残る。そんな不思議な一本。

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