※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

チャイルド44 森に消えた子供たち
(Child 44)
作品データ
2015年|アメリカ|スリラー
監督:ダニエル・エスピノーサ
出演:トム・ハーディ、ノオミ・ラパス、ゲイリー・オールドマン、ヴァンサン・カッセル ほか
「殺人は存在しない国」で、連続殺人を追う話
スターリン体制下のソ連では、公式には殺人事件など起きないことになっている。英雄と称えられた治安将校レオは、その建前の中で起きた子供の死に違和感を覚え、真実を追い始める。追うほどに、国家の嘘と自分自身の過去が絡み合っていく。
物語の主要人物
- レオ・デミドフ(トム・ハーディ)
国家に忠誠を誓うMGB将校 - ライーサ・デミドワ(ノオミ・ラパス)
レオの妻で、スパイ容疑をかけられる女性 - ネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン)
左遷先でレオに協力する民警の上官 - クズミン少佐(ヴァンサン・カッセル)
体制を優先するMGB幹部 - ワシーリー(ジョエル・キナマン)
レオを憎む部下
英雄として生きてきた男
孤児院育ちのレオは、戦争での活躍によって国家の英雄となり、体制を疑わずに生きてきた。殺人事件を「事故」として処理することにも、かつては何の疑問も抱かなかった。しかし、親友の息子が不可解な死を遂げたことで、その価値観が揺らぎ始める。
嘘を前提に動く国家
検視の結果は明らかに殺害を示しているのに、上層部は「事件ではない」と命じる。さらにレオは、妻ライーサを告発する任務を与えられ、忠誠と愛情のどちらを選ぶか迫られる。告発を拒んだ結果、二人は左遷され、すべてを奪われた立場に追い込まれる。
認められないはずの連続殺人
左遷先で再び起きた少年の死をきっかけに、レオは同一犯による連続殺人の存在に辿り着く。ネステロフ将軍の協力で調べを進めるほど、犠牲者の数は増え、「存在しないはずの犯罪」が確かな形を持ち始める。その行為自体が、国家への反逆とみなされていく。
真犯人と向き合う森
やがてレオは犯人に行き着くが、そこにあったのは怪物というより、体制が生み出した歪みだった。追跡の果てに訪れる結末は、正義の勝利というより、ようやく現実を直視できた瞬間に近い。
この映画のポイント
・殺人を否定する国家という異常な前提
・正義より忠誠を求められる社会
・夫婦関係が事件と並行して崩れていく構成
・暗く重たい空気が最後まで続く
たぶんこんな映画
犯人探しのスリル以上に、息苦しさがずっと残る。悪いのは誰か、というより、何が人をこうしてしまうのかを考えさせられる。観終わると、事件よりも「この国で生きる怖さ」の方が強く印象に残る一本。

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