※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
裏切りのサーカス
(Tinker Tailor Soldier Spy)
作品データ
2011年|イギリス/フランス/ドイツ|スパイ・ドラマ
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、トム・ハーディ、トビー・ジョーンズ、マーク・ストロング ほか
静かな男が、組織の奥に潜む裏切り者を一人ずつ剥がしていく話
冷戦下のイギリス諜報機関で、誰もが疑わしく、誰もが信用できない状況が続く中、引退に追い込まれた男が極秘で復帰する。派手な銃撃も追跡もほとんどない。ただ、沈黙と視線と記憶の積み重ねだけで、裏切りの正体に近づいていく。
物語の主要人物
- ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)
引退した元サーカス幹部で、もぐら調査を任される人物 - リッキー・ター(トム・ハーディ)
サーカス工作官で、内部にもぐらがいると密告した男 - ピーター・ギラム(ベネディクト・カンバーバッチ)
スマイリーに忠実な中堅幹部 - パーシー・アレリン(トビー・ジョーンズ)
サーカスの現トップ - ビル・ヘイドン(コリン・ファース)
サーカス幹部で、知性と人望を兼ね備えた男
失敗した作戦と、消された疑い
1970年代、サーカスは度重なる作戦失敗に悩まされていた。トップのコントロールは、組織内部にソ連の二重スパイがいると確信し、極秘作戦を実行するが失敗。責任を取る形で彼と右腕のスマイリーは追い出され、やがてコントロールは死去する。だが、疑念だけは消えなかった。
水面下で再び始まるもぐら狩り
工作官リッキー・ターからの密告を受け、外務次官は密かにスマイリーを復職させる。スマイリーは限られた仲間と共に、過去の記録や証言を洗い直す。容疑者はサーカス幹部4人。誰もが怪しく、誰もが合理的に振る舞っている。
情報が多いほど、真実は見えなくなる
ソ連からの情報を得ているとされる「ウィッチクラフト作戦」は成果を上げているように見えるが、スマイリーはそこに違和感を覚える。証言の欠落、偶然が重なりすぎる成功、沈黙を守る人間たち。調査を進めるほど、裏切りは組織そのものに深く溶け込んでいることが分かってくる。
静かに突きつけられる答え
仕掛けられた罠によって、ついにもぐらの正体が明らかになる。そこにあるのは派手な正義感ではなく、信念と裏切りが絡み合った冷たい現実だった。事件が終わった後、スマイリーはサーカスのトップに就くが、勝利の余韻はほとんど残らない。
この映画のポイント
・説明を極力省いた構成
・会話と視線だけで進む緊張感
・登場人物全員が疑わしく見える演出
・スパイ映画なのにアクションは最小限
たぶんこんな映画
分かった気になった頃に、もう一度考えさせられる。観ている間より、観終わった後にじわじわ効いてくるタイプ。派手さはないけど、頭の中でずっと会議が続く感じの、かなり渋い一本。

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