※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
愛の奴隷
(原題:Of Love and Shadows)
作品データ
1994年|アメリカ|ロマンス/ドラマ
監督:ベティ・カプラン
出演:アントニオ・バンデラス、ジェニファー・コネリー、ステファニア・サンドレッリ ほか
愛が始まったせいで、見なくていい現実まで見えてしまう話
恋に落ちたはずなのに、気づけば危険な場所に踏み込んでいる。
この映画は、個人的な感情が、社会の暗部と強制的につながってしまう流れを描いていく。
ロマンチックな始まりから、空気がじわじわ変わっていく。
恋の取材が、国家の闇に触れていく
写真家のフランシスコと、雑誌記者のイレーネは仕事を通じて出会う。
二人は取材を進める中で、次第に惹かれ合っていく。
やがて、地方で起きた不可解な出来事を追ううちに、失踪や暴力の痕跡に触れてしまう。
恋人としての時間と、記者としての使命が切り離せなくなっていく。
情熱的な写真家と、真っ直ぐな記者
フランシスコは感情を隠さず、直感で動くタイプ。
危険を感じながらも、目の前の真実から目を逸らせない。
イレーネは理想と責任感を持った記者で、恐れながらも書くことをやめない。
二人の価値観は近いけれど、覚悟の重さは少しずつ違っている。
軍事政権下の国、日常の裏にある恐怖
舞台はラテンアメリカのある国。
表向きは穏やかでも、言葉にできない緊張が街に漂っている。
取材先の村や街角で、普通の生活と暴力の影が同時に存在している。
恋愛の時間さえ、常に不安と隣り合わせ。
真実を知るほど、後戻りできなくなる
調査が進むにつれて、二人は国家権力の暴力に近づいていく。
知ってしまった事実は、無視すれば安全だけど、心が許さない。
取材は使命に変わり、恋は支え合う理由に変質していく。
選択肢が減るほど、覚悟だけがはっきりしていく。
愛と恐怖を抱えたまま、逃げるように進む
終盤では、身の危険が現実的なものになる。
二人は真実を外へ出そうとしながら、生き延びる道を探す。
すべてが解決するわけじゃないけれど、沈黙には戻らない。
愛は救いというより、前に進むための原動力として残る。
この映画のポイントなに?
恋愛映画と社会派ドラマが同時に進んでいく構成。
甘さよりも緊張感が少しずつ増していく。
個人の感情が、政治や暴力と切り離せない状況が描かれる。
アントニオ・バンデラスの情熱的で危うい存在感も印象に残りやすい。
たぶんこんな映画
静かな恋の話だと思って観ると、途中から空気が変わる。
愛することで、見ないふりができなくなる感覚が続く。
観終わったあと、恋と正義の距離について考えが残りやすい、そんな一本。

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