※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
フォックスキャッチャー
(Foxcatcher)
作品データ
2014年|アメリカ合衆国|伝記・スポーツ・スリラー
監督:ベネット・ミラー
出演:スティーブ・カレル, チャニング・テイタム, マーク・ラファロ, ヴァネッサ・レッドグレイヴ
金と承認欲求が絡み合って、静かに最悪の結末へ転がっていく話
オリンピック金メダリストのレスラー兄弟と、莫大な財産を持つ男ジョン・デュポン。支援と友情のように見えた関係は、少しずつ歪み、力関係と依存に変わっていく。誰も声を荒げないのに、空気だけが重くなり、最後は取り返しのつかない地点へ辿り着く。
ざっくり時系列
金メダルを取ったが満たされない弟
↓
億万長者デュポンからの誘い
↓
私設レスリングチームに参加
↓
称賛と支配が入り混じる関係
↓
兄がチームに加わる
↓
緊張と違和感が積み重なる
↓
弟がチームを去る
↓
兄が残り、悲劇が起こる
物語の主要人物
- ジョン・E・デュポン(スティーブ・カレル)
億万長者。レスリングに執着し、承認を求め続ける。 - マーク・シュルツ(チャニング・テイタム)
オリンピック金メダリストの弟。兄への劣等感を抱える。 - デイブ・シュルツ(マーク・ラファロ)
兄。穏やかで指導者的な存在。 - ジャン・デュポン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)
ジョンの母。強い影響力を持つ人物。
認められたい者同士が引き寄せ合う始まり
物語の序盤、マークは金メダリストでありながら、兄デイブの影にいるような感覚を拭えずにいる。そこへ現れるのが、デュポン家の跡取りジョン。金も地位もあるが、誰にも尊敬されていない男だ。互いの欠けた部分が噛み合い、奇妙な関係が始まる。
支援が支配に変わるまでの静かな時間
ジョンはマークを称え、金を出し、居場所を与える。一方で、徐々に境界線を越え、私生活や考え方にまで口を出し始める。マークは反発しきれず、依存と嫌悪の間で揺れ続ける。空気は常に張りつめているのに、はっきりした衝突は起きない。
兄の存在と、決定的な崩れ
デイブがチームに加わったことで、一時的に均衡は保たれる。だがそれは長く続かない。弟は去り、兄は残る。孤立と被害妄想を深めたジョンは、ついに越えてはいけない一線を越えてしまう。ここまで来ても、演出は淡々としていて、逆に現実味が増していく。
この映画のポイント
- 派手な演出を避けた冷たいトーン
- 支援と支配の境界が曖昧な関係性
- スポーツ映画なのに勝利のカタルシスがない
- 不安だけが積み上がっていく構成
たぶんこんな映画
観ていてずっと落ち着かないのに、目が離せないタイプの作品。誰かが悪いと簡単に言えない分、後味が重く残る。静かな狂気ってこういうことか、ってじわじわ分かってくる感じ。観終わったあと、しばらく無言になるやつ。

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