エル・マリアッチ

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。




エル・マリアッチ コレクターズ・エディション [DVD]
エル・マリアッチ コレクターズ・エディション




エル・マリアッチ
(El Mariachi)

作品データ
1993年|メキシコ|アクション/犯罪
監督:ロバート・ロドリゲス
出演:カルロス・ガラルドー/コンスエロ・ゴメス ほか

ギターケースを持ってただけで、人生が別ルートに入る話

旅をしながら音楽で食べていきたい。
夢としてはわりと素朴で、無理もしてない。

なのにこの映画、
「持ち物ひとつ」で状況が一気に地獄側へ転がっていく。

静かな町。
ギターケース。
それだけで、運命が完全に勘違いされる。

流れ者の音楽家、なぜか命を狙われる

主人公は、流しのマリアッチ。
ギターケースを抱えて、次の仕事を探して町へ入る。

同じ頃、その町では、
武器をギターケースに入れた殺し屋が動いていた。

見た目が似ている。
持ち物も似ている。

その結果、
音楽家のほうが、なぜか犯罪者として追われる立場になる。

理由もわからないまま、
銃撃に巻き込まれ、逃げて、隠れて、
とにかく生き延びるしかなくなる。

状況がどんどん悪くなるのに、説明はほとんどない

この映画、
親切な説明はあまりしてくれない。

「今どうなってるか」は分かるけど、
「なぜここまで来たか」は置いていかれる。

でもそれが、
主人公の感覚とだいたい同じ。

何が起きてるのか完全には理解できないまま、
銃声だけがどんどん近づいてくる。

町の人たちも、
味方なのか敵なのか曖昧で、
安心できる場所がほとんどない。

恋と暴力が、同じ速度で転がっていく

逃げる途中で出会う女性との関係も、
すごく急に始まる。

余裕はない。
選択肢も少ない。

だからこそ、
この世界では「好きになる」と「失う」が
ほぼ同時進行で起きてしまう。

音楽の話をしていたはずなのに、
いつの間にか銃を持つ側に立たされている。

元には戻れないところに立っている

物語の最後、
主人公はもう最初の場所には戻れない。

ギターケースの意味も変わっているし、
生き方そのものも、だいぶ別物になっている。

英雄になった感じでもないし、
スッキリした達成感があるわけでもない。

ただ、
「そうなってしまった」
という立ち位置に立たされている。

低予算なのに、勢いだけは止まらない

派手なセットも、
有名俳優も、
丁寧な心理描写も、
正直そこまで多くない。

でも、
止まらずに進む感じだけは異様に強い。

偶然に振り回されて、
選択肢が削られて、
気づいたら別の人生に入っている。

その荒っぽさごと含めて、
これが、エル・マリアッチ。

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