※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ラウンダーズ
(Rounders)
作品データ
1998年|アメリカ|ドラマ・犯罪
監督:ジョン・ダール
出演:マット・デイモン、エドワード・ノートン、
ジョン・マルコヴィッチ、グレッチェン・モル ほか
ポーカーはギャンブルじゃない、という顔をした世界
主人公マイク・マクダーモットは、
ニューヨークで暮らす法学生。
彼には隠れた顔がある。
それは、
地下ポーカールームを渡り歩く凄腕のポーカープレイヤー。
映画は冒頭から、
ポーカーを単なる運任せの賭博としては描かない。
確率、心理、観察、そして忍耐。
ここで問われるのは運よりも、
人を見る力だ。
マイクは一度、
ロシアンマフィアの胴元テディ・KGBに大金を奪われ、
「もうポーカーはやらない」と誓う。
だがこの誓いは、最初から薄い。
親友ワームという名のトラブルメーカー
マイクの前に現れるのが、
刑務所から出所した親友ワーム。
彼は口が達者で、
小賢しく、ズルくて、どうしようもない。
それでも、マイクは彼を見捨てきれない。
ワームはポーカーの腕はあるが、
プレイよりもイカサマに頼るタイプ。
一方マイクは、
「正面から勝つ」ことにこだわる。
この価値観のズレが、
2人をどんどん危険な場所へ引きずり込む。
友情なのか、共依存なのか。
映画はそこを曖昧なまま進んでいく。
勝負に向いている人間、向いていない人間
ラウンダーズが面白いのは、
ポーカーのテクニックだけでなく、
勝負師としての資質を描いている点。
- 感情を抑えられるか
- 負けを受け入れられるか
- 自分の限界を知っているか
マイクは冷静で計算高い。
だが彼には一つ弱点がある。
それは「人情」
ワームは真逆。
場の空気も相手の表情も読めるが、
欲と虚勢が止まらない。
この2人は、
同じテーブルに座っていても、
見ている世界が違う。
テディ・KGBという最悪のラスボス
物語は再び、
マイクとテディ・KGBの対決へ向かう。
テディは、
感情を表に出さず、
ひたすらクッキーを食べながらプレイする怪物。
彼は強い。
そして何より、
自分が強いことを知っている。
最終局面でマイクが選ぶのは、
安全な人生か、
全てを賭ける一瞬か。
ここで彼は、
法学生としての未来を捨て、
勝負師としての自分を選ぶ。
勝つことより、「降りる」ことの難しさ
この映画が語るのは、
一攫千金の快楽ではない。
本当に難しいのは、
- 勝ったあとに降りること
- 負けたときに立ち直ること
- 自分に嘘をつかないこと
マイクは最後、
すべてを取り戻すが、
それが幸福かどうかは語られない。
彼はただ、
自分が何者なのかを受け入れただけだ。
ポーカームービーの教科書
『ラウンダーズ』は公開当時こそ大ヒットではなかったが、
後にポーカーブームと共に再評価された作品。
実際のプロプレイヤーにも影響を与え、
「ポーカー映画のバイブル」と呼ばれることも多い。
派手なアクションはない。
だが、
テーブル越しの沈黙と視線だけで、
ここまで緊張感を作れる映画は珍しい。
ラウンダーズは、
勝負の映画であり、
同時に「自分の癖とどう付き合うか」の映画。
観終わったあと、
カードよりも先に、
自分の性格を振り返らされる一本。

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