※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
美しい人
(Nine Lives)
作品データ
2005年|アメリカ合衆国|ドラマ
監督:ロドリゴ・ガルシア
出演:シシー・スペイセク, グレン・クローズ, ホリー・ハンター, リサ・ゲイ・ハミルトン, キャシー・ベイカー, アマンダ・セイフライド, エイミー・ブレネマン, ロビン・ライト・ペン ほか
それぞれ別の場所で、生きづらさを抱えた女性たちの話
9人の女性が主人公で、9つの短い物語が続いていく。派手な事件が起きるというより、人生のある一瞬を切り取った感じ。それぞれは独立しているようで、空気や感情がゆるくつながっていて、「あ、この人も同じ街で同じように悩んでるんだな」と思わせる構成になってる。
ざっくり時系列
刑務所の面会室で母と娘の時間が壊れる
↓
スーパーの通路で昔の恋人同士が再会する
↓
実家に戻った娘が過去と正面衝突する
↓
夫婦が車の中で感情を爆発させる
↓
思春期の娘が両親の板挟みになる
↓
介護と不倫の間で揺れる女性がいる
↓
元夫との歪んだ距離感に苦しむ
↓
手術を前にした女性が夫とぶつかる
↓
墓地で母と娘が静かに語り合う
物語の主要人物
・サンドラ(エルピディア・カリロ)
収監中で、面会日に娘と連絡が取れなくなる母親
・ダイアナ(ロビン・ライト・ペン)
結婚後、偶然かつての恋人と再会する女性
・ホリー(リサ・ゲイ・ハミルトン)
過去の傷と向き合うため実家に戻る娘
・ソニア(ホリー・ハンター)
夫との関係が限界に近づいている女性
・サマンサ(アマンダ・セイフライド)
両親の間で感情の受け皿になっている10代の少女
・ルース(シシー・スペイセク)
介護と孤独の中で揺れる女性
・ローナ(エイミー・ブレネマン)
元夫との関係に整理がつかない女性
・カミーユ(キャシー・ベイカー)
病気と向き合いながら夫と衝突する女性
・マギー(グレン・クローズ)
娘と静かに人生を語り合う母親
ほんの一瞬だけ見せられる人生の断面
この映画は、それぞれの物語がほぼワンシーン、ワンテイクで進んでいく。説明も背景も最小限で、「今ここで何が起きてるか」だけが置かれる。だから観てる側は、事情を全部理解する前に感情だけを受け取ることになる。
つながらないのに、つながっている感じ
登場人物同士が直接深く関わることはほとんどない。でも、誰かの物語で感じた重さが、次の物語にもそのまま残っていく。親子、夫婦、恋人、どの関係にも共通しているのは、「言葉にできないズレ」が溜まってること。
大きな答えは出さない
解決したり、救われたりする話はほとんどない。その代わり、「この瞬間をどう生きてるか」だけが切り取られる。観終わったあと、何が正しかったのかはわからないけど、その人たちが確かに生きてた時間だけは残る。
この映画のポイント
・9つの短編がほぼ同じ重さで並ぶ構成
・ほとんどがワンテイクで進む会話中心の演出
・出来事より感情の揺れを重視している
・日常の中の限界点を切り取っている
たぶんこんな映画
盛り上がるというより、ずっと人の息づかいが近い感じ。誰かの人生を覗き見して、そっと次の部屋に移るみたいな感覚が続く。観終わると、「美しい」という言葉が、派手さじゃなくて、必死さのことなんだなと思えてくる映画。

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