※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。
ジャンゴ 繋がれざる者
(原題:Django Unchained)
作品データ
2012年|アメリカ|西部劇/ドラマ
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン ほか
西部劇の形を借りて、怒りが真っ直ぐ撃ち抜かれる
広い荒野、西部劇っぽい音楽、ゆっくりした語り口。
なのに、そこに流れている感情はかなり生々しい。
歴史の話を淡々と再現するというより、強い感情を一直線に通すために、西部劇の型を借りている感じがする。
奴隷の男と、少し風変わりな賞金稼ぎ
舞台は南北戦争前のアメリカ南部。
鎖につながれた奴隷の一人が、賞金稼ぎの男に買われるところから話が動き出す。
この賞金稼ぎ、仕事は冷静だけど、妙に礼儀正しくて、説明も丁寧。
二人は利害でつながりながら、少しずつ行動を共にするようになる。
目的はひとつ、奪われた妻を取り戻すこと
主人公ジャンゴの目的ははっきりしている。
生き別れになった妻を見つけ出すこと。
そのために銃の扱いを覚えて、賞金稼ぎの仕事を手伝いながら、名前と顔を広げていく。
復讐というより、取り戻すために進んでいく感じが強い。
南部の大農園に漂う、異様な空気
物語の大きな舞台になるのが、巨大な綿花農園。
表向きは優雅で洗練されているけど、その下にある暴力と支配が隠れていない。
若い農園主の饒舌さと、年老いた執事の鋭い視線が、場の緊張を高めていく。
ここでは、言葉の一つひとつが探り合いになる。
正体がバレるかどうかの綱渡り
ジャンゴたちは、目的のために役を演じ続ける。
誰が何を疑っているのか、どこまで見抜かれているのか。
食事の席や雑談の中に、ずっと危うさが混じっている。
銃撃戦よりも、この時間のほうが息が詰まる感じが続く。
ラストは、抑え込まれていた感情の噴出
やがて、溜まっていたものが一気に表に出る。
暴力が前面に出て、これまでの緊張が別の形で解放されていく。
現実的というより、寓話っぽい決着で、感情の行き先がはっきり示される。
たぶんこんな映画
重たい題材を扱っているのに、語り口は意外とエンタメ寄り。
会話、音楽、様式が強くて、感情が直接伝わってくる。
歴史を静かに振り返るというより、怒りや願いを物語として撃ち出すタイプの作品。
観終わったあと、爽快感と居心地の悪さが同時に残る一本。

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