ジョー・ブラックをよろしく

※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。




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ジョー・ブラックをよろしく
(Meet Joe Black)

作品データ
1998年|アメリカ|ファンタジー/ロマンス
監督:マーティン・ブレスト
出演:ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、クレア・フォーラニ ほか


死神がやってくる、という前提

この映画の出発点はかなり変わっている。

主人公は「死」
正確には、
人間の姿を借りた死神

彼はジョー・ブラックと名乗り、
大企業の経営者ビル・パリッシュの前に現れる。

用件はシンプル。
「そろそろ君の番だ」

ただし条件がひとつ。
死を迎えるまでの間、
人間の世界を案内してほしい。

ここから映画は、
奇妙で静かな時間に入っていく。


ビル・パリッシュという男

アンソニー・ホプキンス演じるビルは、
成功した実業家。

権力も富もあるけれど、
人生の終わりが近づいていることを、
ちゃんと理解している男。

彼は死を恐れつつも、
逃げようとはしない。

むしろ、
「どう生きたか」を
振り返ろうとしている。


ジョー・ブラックの無垢さ

ジョーは死神だけど、
人間としての経験がほぼゼロ。

食事、会話、感情、愛情。
すべてが新鮮で、
理解しきれない。

特に「味覚」
ピーナッツバターに感動するシーンは、
この映画の象徴。

無垢さと不気味さが、
同時に存在している。


スーザンとの関係がもたらす揺らぎ

ビルの娘スーザンは、
ジョーに惹かれていく。

ここが一番ややこしい。

なぜなら、
スーザンが惹かれているのは、
「死そのもの」だから。

ロマンスとして見ると甘い。
でも構造としては、
かなり危うい。

ジョーは人間じゃない。
永遠でもない。


もし死が、恋をしたら

ジョーは、
スーザンとの関係を通して、
初めて「別れ」を理解する。

死は、
すべてを終わらせる存在。

なのに、
終わりたくない気持ちを
知ってしまう。

ここで彼は、
自分の役割と感情の間で揺れる。


父と娘、そして別れの準備

映画の後半は、
派手な展開はほとんどない。

ビルは
仕事と人生の整理をし、
娘たちと向き合い、
静かにその時を待つ。

アンソニー・ホプキンスの演技が、
この映画の重心。

「いい人生だった」
と言えるかどうか。


選ばれなかった未来

ラスト、
ジョーはスーザンのもとを去る。

愛を知ったからこそ、
奪わない選択をする。

死神は、
恋人にはなれない。

この決断が、
この映画を
ただのラブストーリーにしない。


この映画が残す問い

『ジョー・ブラックをよろしく』は、
死を擬人化した
人生の見直し映画

愛すること。
手放すこと。
終わりを受け入れること。

テンポは遅いし、
3時間近くある。

でも、
ゆっくりだからこそ、
「死」と「生」を
同じ目線で眺められる。

派手さはない。
でも静かに、
心に残る。

人生の後半に見ると、
たぶん印象が変わる映画。

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