※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

マッド・ダディ
(Mom and Dad)
作品データ
2017年|アメリカ合衆国|ホラー
監督:ブライアン・テイラー
出演:ニコラス・ケイジ、セルマ・ブレア、アン・ヘッシュ ほか
ある日突然、親が子どもを殺そうとし始める話
平凡そうな家庭の日常が、理由も説明もなくひっくり返る。
昨日まで普通だった親たちが、急に子どもへ敵意を向け始める。
ニコラス・ケイジが、父親として完全に振り切れた行動を取り始めるのが、かなり強烈。
正体不明の異変で、家庭も街も壊れていく
物語は、どこにでもありそうな郊外の一日から始まる。
学校へ行き、仕事へ向かい、特別なことは何もない。
ところが、ある瞬間を境に、親たちが一斉におかしくなる。
子どもを守るどころか、執拗に追い回し、排除しようとする。
理由は語られないまま、街全体が狂気に包まれていく。
抑圧を溜め込んでいた父親
ニコラス・ケイジが演じる父親は、仕事も家庭もどこか息苦しそう。
表では普通を装っているけど、内側では不満や焦りが積もっている。
異変が起きたことで、その抑圧が一気に暴走する。
理性が外れた状態での行動が、ホラーというより悪夢に近い。
感情の振れ幅が極端な母親
セルマ・ブレアの母親は、愛情と攻撃性が一瞬で切り替わる。
子どもを愛しているはずなのに、次の瞬間には危害を加えようとする。
優しさと狂気が混ざった状態が、見ていてかなり落ち着かない。
家庭内の安心感が、完全に消える。
子ども側から見た、逃げ場のない状況
親がおかしくなった理由が分からないまま、子どもたちは逃げるしかない。
家の中、近所、どこに行っても大人が信用できない。
助けを求める相手が、全員敵になる感覚が続く。
ホラーの視点が、完全に子ども側に寄っている。
街全体が同じ状態に陥っている異常さ
話が進むにつれて、この現象が一家だけじゃないことが分かってくる。
他の家庭でも、同じようなことが起きている。
ニュースや外の様子から、街全体が狂っている空気が伝わってくる。
個人的な問題じゃなく、説明不能な集団異常として広がっていく。
混乱のまま突き進む終盤
状況が整理されることはなく、ひたすら逃走と衝突が続く。
親と子という関係が、最後まで歪んだままぶつかり合う。
原因や解決策より、その瞬間をどう生き延びるかが中心になる。
テンションは最後まで下がらない。
最後は、異変が過ぎ去ったあとの空白が残る
クライマックスを越えて、事態は一応の区切りを迎える。
でも、元通りに戻ったから安心、という感じではない。
何が起きたのか説明されないまま、傷だけが残る。
日常に戻れるのかどうかも、はっきりしない。
この映画のポイントは、理由を語らない怖さ
なぜ親がこうなったのか、答えは提示されない。
説明がない分、不安だけが増幅される。
理屈より感情と暴走が前に出る作り。
たぶん、観終わったあと親子関係を変な目で見る映画
一番安全なはずの存在が、一番危険になる。
家という場所の安心感が、根こそぎ揺らぐ。
怖さと同時に、妙な後味が残る一本かも。

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