※この記事には、作品の内容に触れる表現や
ネタバレを含む場合があります。 未視聴の方はご注意ください。

ヴェンジェンス
(Vengeance: A Love Story)
作品データ
2017年|アメリカ合衆国|スリラー
監督:ジョニー・マーティン
出演:ニコラス・ケイジ、ドン・ジョンソン、デボラ・カーラ・アンガー ほか
法では守りきれないと感じた男が、静かに線を越える話
正義のために働いてきたはずの男が、ある事件をきっかけに、別のやり方を選び始める。
声を荒げるわけでも、派手に暴れるわけでもない。
ただ、じわじわと覚悟だけが固まっていく感じが続く。
被害者と向き合う中で、方向が変わっていく
物語は、町で起きた凄惨な事件から動き出す。
若い女性が重い被害を受け、加害者たちは法の網をすり抜けてしまう。
警察官である主人公は、捜査に関わりながらも、その結末に強い違和感を抱く。
被害者とその家族の現実を目の当たりにする中で、「見過ごす」という選択ができなくなっていく。
やがて主人公は、公式な手続きを離れた行動を取り始める。
表情をあまり変えない、寡黙な警察官
ニコラス・ケイジが演じる主人公は、感情を表に出さないタイプ。
正義感はあるけど、それを声高に主張する人ではない。
だからこそ、内側で何が起きているのかが分かりにくい。
静かなまま、考えだけが一線を越えていく。
傷を抱えた被害者と、その家族
被害を受けた女性は、心身ともに深い傷を負っている。
周囲の理解も十分とは言えず、孤立した状態に近い。
彼女と向き合う時間が、主人公の判断に影響を与えていく。
事件が「過去のもの」にならない感覚が、ずっと残る。
法と現実のズレが、はっきり見えてくる
裁判や制度は存在しているけど、それで全てが解決するわけじゃない。
主人公は警察官として、その限界をよく知っている。
正しい手順を踏んだ結果、誰も救われていない状況が目の前にある。
このズレが、行動の引き金になる。
個人的な復讐に近づいていく展開
調査と接触を重ねるうちに、主人公の行動は私的なものに変わっていく。
誰にも相談せず、一人で準備を進める。
守るためなのか、怒りなのか、自分でも線引きが曖昧になっていく。
静かなまま、危険な方向へ進んでいく感じが続く。
最後は、選択の結果と向き合う
終盤では、主人公が取った行動の結果が明確になる。
それが正しかったのかどうかは、簡単には判断できない。
被害者にとって何が救いになるのか、答えは一つじゃない形で残る。
すっきり終わるというより、重さが残る締め方。
この映画のポイントは、沈黙が多いところ
説明的なセリフは少なく、間や視線で進む場面が多い。
派手な復讐劇というより、感情を内側に溜めたまま進む構成。
静かだからこそ、行動の重さが際立つ。
たぶん、観終わったあと正義について考えてしまう映画
何が正しくて、何が間違いなのか、簡単に言えない。
法に従うことと、人を救うことがズレる瞬間がある。
答えを押しつけない分、後からじわっと効いてくる一本かも。

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